【レースを始めたのは65歳】一家3世代で楽しむフレイザー・ナッシュ ビンテージ・レース 後編
公開 : 2021.01.10 12:25
日本では馴染みのない、ビンテージカーによるモータースポーツ。盛んな英国では、世代をまたいだ趣味として楽しむ一家もあります。今回は3人でフレイザー・ナッシュのレースに挑んだコーリー一家と、その愛車をご紹介しましょう。
ビンテージカーの活動を担う若者を育てる
フレイザー・ナッシュ・エメリソンスペシャルで、17歳のウィルフ・コーリーがレースへ出場したことは、コーリー一家の哲学的といえる思いの結果。父のダガル・コーリーは、将来ビンテージカーの活動を担える若者を育てるために、お金を投じている。
ダガルが思いを話す。「幅広い世代のメンバーを集めることに注力しています。30代未満のメンバー、ユースたちが、半額でレースに参加できる計画も進めています」
「マロリー・パークでのイベントでは、ロングストーン・タイヤがスポンサーになり、30歳以下のメンバーは無料で参戦できるように後援してくれました。VSCCには、宝物がたくさん詰まっています。メンバーの孫たちが、ビンテージカーを運転し始めています」
「とても大切なことです。受け継がれなければ、クルマは埃の溜まった遺物になてしまいます。わたしのピグレットのように老いぼれたクルマは特に、生き残るためにもレースに出る必要があると思っています」
樹木医だった祖父のアンディから3世代に渡って、オースチン・セブンも所有してきた。「子供の頃からVSCCのイベントに行き、ガレージのラゴンダとともに大きくなりました」。と話す父のダガル。
「初めて購入したのはフォルクスワーゲン・ビートル。1997年頃から、オースチン・セブンでトライアルレースに参加し始めました。2002年からVSCCのレースに出ています。2004年に自宅を売り、このフレイザー・ナッシュ・ピグレットを買いました」
16歳でヒルクライム・レースにデビュー
「近所を運転してみて、これを買わなくては、と思ったんです。ごちゃ混ぜの改造車状態で、わたしに向いているクルマでした。高すぎず、ほどほどに速い。すぐにレースを始めましたが、最初のシーズンで一番良く走れたのは、プラクティスの1周のみです」
アンディが口を開く。「古いクルマは、オーナーが変わると調子が悪くなるんです。整備に1年くらいは必要。自身なりの乗り方を発見し、クルマを自分のものにする方法を学ぶ必要があるんですよ」
ダガルはレースで結果を残すようになり、フレイザー・ナッシュのオーナーズクラブでも活躍するようになった。10代の若さでVSCCへ加わった、息子のウィルフもその意思を受け継いでいる。
「生まれたときから、いつもレースに関わってきました。父が13歳の誕生日に買ってくれたのが、オースチン・セブンのペネトレーター・スペシャル。今も大切にしているクルマです」。と話すウィルフ。
「VSCCの規定に合わせるために、多くの作業が必要でした。14歳の時には、1500cc以下のライトカー・セクションに参加しています。最年少だったと思います」
「初めての本格的なレースは、2019年7月のシャトー・インプニー・ヒルクライム。その1か月後には、キャドウェル・パークも走っています」
そんなコーリー一家が集った、2020年8月のマロリー・パーク・サーキット。9つのイベントの中でメインの1つとなる、フレイザー・ナッシュ・チャレンジレースに3人が挑んだ。若いウィルフが振り返る。