【限界領域を味わう人へ】ポルシェ911 GT3 RS MRへ試乗 991型 ニュル最速に接近
公開 : 2020.12.26 10:25
ドイツのレーシングチーム、マンタイ・レーシングが生み出したGT3 RSが、この「MR」。先代991型をベースにサスペンションや空力特性を見直し、サーキット性能を大幅に引き上げています。限定11台の1つを英国編集部が評価しました。
もくじ
ーマンタイ・レーシングの手によるGT3 RS
ークルマ抜きのパッケージだけで931万円
ー催眠術にかかったように運転へ浸る
ー領域でのニュアンスに惹きこまれる
ーポルシェ911 GT3 RS MR(991型/英国仕様)のスペック
マンタイ・レーシングの手によるGT3 RS
991型のポルシェ911 GT3 RSのオーナーで、さらなる速さと俊敏さを求める人は、どの程度いるのだろう。ちょっと身近には思い浮かばない。
今回試乗したのは、そんなポルシェ911。モデル名に追加された「MR」は、マンタイ・レーシングの略で、ポルシェが51%の株式を握る優秀なレーシングチームだ。
マンタイ・レーシングはレース参戦だけでなく、ポルシェ911のチューニングをドイツの拠点で展開してきた。英国の認定ディーラーを通じて、コンプリート・モデルの購入が可能となったのは今回が初めて。それが、このGT3 RS MRとなる。
英国での販売を請け負ったのは、ポルシェのチューニングやレストアを手掛けるRPMテクニック社。親切なGT3 RS MRのオーナーの了承のもと、少しの試乗が許された。
当面は、チューニング・パッケージという構成で英国では販売される。個々の部品としての購入も可能だという。
サスペンションは、フル調整式のマンタイ製コイルオーバー・ダンパーユニット。ブレーキパッドと金属メッシュ製のブレーキラインも、マンタイ・レーシングの専用品となる。ホイールはマグネシウム製で、バネ下重量を12.6kgも削減してくれる。
そして何より、GT3 RS MR最大の特徴となるのが空力特性を高めたボディ。カーボンファイバー製の巨大なウイングと、強度を高めたブラケットがその象徴となる。
クルマ抜きのパッケージだけで931万円
軽量なガーニーフラップが一体となったカーボン製エンジンカバーや、フロントのアンダースカートなどが見た目を引き締める。ホイールセンターを覆うカーボン製のカバーも、空気抵抗を減らしつつダウンフォースを高めている。
これら一式のパッケージ価格は、RPMテクニック社による取付費用を含めて英国では6万9000ポンド(931万円)。もちろん、911型のGT3 RSは含まれない。
最高出力520psを発揮する4.0Lの自然吸気フラット6と、7速PDKは完全にオリジナルのまま。賢明な判断だと思う。英国で提供される911 GT3 RS MRの台数は11台のみ。限られた数だが、マンタイ・レーシングの目指すところを確かめてみよう。
ダウンフォースの数値は公表されていないものの、参考としてニュルブルクリンクのラップタイムはわかる。1台はMR仕様のGT2 RSで、もう1台は標準のまま。どちらもポルシェのテストドライバーがステアリングホイールを握り、2018年にアタックした。
その結果、マンタイ・レーシングのGT2 RSは、6分40秒3という驚くべき速さを残している。標準のGT2 RSより、7秒も速かったのだ。現在でも公道走行が許されているモデルとしての、ファステスト・ラップに刻まれている。
今回の911 GT3 RS MRも、それに近いタイムを出せると考えていいだろう。実際、猛烈に速い。