【痛車の世界】クルマのボディにアニメや漫画、ゲームなどのキャラクター 著作権や版権は大丈夫?
公開 : 2020.12.29 09:25 更新 : 2022.03.25 18:50
公式許諾をとっている業者ごくわずか
「公式許諾」(正式に作品のデザインを使用して痛車を製作すること)を取得したうえで、痛車を製作している痛車専門店「じおくりえいと」(本社:埼玉県所沢市)に話を聞いてみた。
同社は痛車専門店の中では珍しく、もともとクルマのカスタムやチューニング、中古車販売をおこなっていた会社の一部門として誕生している。
痛車業者の多くが、印刷業や看板業から始まっている中で、クルマ屋が始祖という形態は非常に珍しい。
――御社は数多くの公式許諾を取得していますが、他社も同様ですか?
「公式許諾(著作権運用)によって施工サービスをおこなっている会社は他にもありますが、少ないですね」
「版元商品化申請によって不特定のお客様に公式許諾施工サービスを提供しているのは、全国に数多ある業者の数%かと思います」
「当社は契約版元社数45社以上、公式許諾取り扱い作品150作品以上で、コンテンツ施工サービスが作品ポータルとして機能しています」
――痛車界における著作権は、どのような認識、対応が一般的ですか?
「コミックマーケットにて頒布されている『同人誌』と『同人誌印刷所』をイメージしていただければ痛車著作権対応の理解が深まると思います」
「同人誌は一次著作(版元様作品)をリスペクトして二次著作物として制作され、作者自らが手を動かし描く/創り上げる事で二次著作の関係が成立します」
「しかし、一次著作の丸ごとコピーは海賊版として訴えられます」
二次創作絵を施工するのが一般的
――では、二次著作物なら問題ないということでしょうか?
「一次著作物のコピーから生み出された施工物はお客様も危険に陥れるため、二次創作絵を施工する……というのが痛車作法としては一般的になっています」(じおくりえいと)
「版元の表向きの対応としては『痛車オーナーが二次創作した』となります」
「同人誌、コスプレの存在を認めて痛車のみ著作権法違反で摘発あるいは禁止するのは著作権運用のダブルスタンダードとなってしまうため、厳密な処理はおこなわない(おこなえない)……という暗黙処理となっています」
「厳密に言えば、同人業界も版元によってはレギュレーションが、かかり始めています」
「また、美少女ゲームメーカーは個人申請された痛車希望オーナーにビジュアルを供給しているケースがありますので、商品化契約をお持ちでない痛車業者でも一次著作による公式施工を実施しているケースもあります」