【お披露目延期も期待値上昇中】東京2020オリ・パラにあわせて登場するはずだったクルマとは?
公開 : 2021.01.05 08:25 更新 : 2021.10.09 23:41
登場予定のEVたち
トヨタが提供するEVはeパレットに留まらない。それがイベント専用モビリティとなるAPM(アクセシブル・ピープル・ムーバー)だ。
これは3列シートを持つ短距離用・低速型EVで、約200台が投入されるという。乗員は運転手を含む、最大6名。広大なイベント会場内で、来場者や関係者の輸送を担う。こちらは、イベント専用の電動カートのような存在のため、発展型が量産されることはないのではないだろうか。
そして、もうひとつのEVが、2019年の東京モーターショーにも出品されていたコンセプトカーのトヨタ・コンセプト愛iだ。これは、ワンモーションの特徴的なルックスを持つEVだ。レベル4相当の自動運転も可能だが、ハンドル装置も備わっている。オリンピックの聖火リレーやマラソンの先導車用に数台が導入される予定だ。
最後のEVが歩行領域EV。これは個人利用のEVで、立ち乗りタイプ、座り乗りタイプ、車いす連結タイプの3種が用意される。大規模な会場などで、立ち乗りタイプがスタッフ用に、座り乗りタイプ、車いす連結タイプは歩行が困難な人たちに向けて提供されるという。用意されるのが300台ほど。EVとしては、最も数多く投入される予定だ。
自動運転のデモランに登場が期待されるのは
東京2020オリンピック・パラリンピックにあわせて計画されたイベントもあった。それが日本自動車工業会主催の「自動運転実証の公開」だ。
東京オリンピック・パラリンピックの開催に先駆けた2020年7月に羽田空港地域や臨海副都心などで、自動運転レベル2から4に相当する車両を走らせるというもの。参加するのはトヨタを筆頭に、日産、ホンダ、スバル、マツダ、三菱自動車、スズキ、ダイハツ、日野自動車、ヤマハの10社。車両は80台にも及ぶという。
トヨタとしてはCESなどで発表済みであったレクサスLSベースの実験車のTRI-P4が登場予定であった。また、ホンダや日産からも最新の自動運転の実験車両がお披露目されるはずであった。
ところが、東京オリンピック・パラリンピックの延期にあわせて、「自動運転実証の公開」も延期されてしまった。もしも、コロナ禍がなくて開催されていれば、自動運転への世間の期待もさらに高まっていたはずだ。これも残念であった。
「EVと自動運転」の気運を高める狙い
東京2020オリンピック・パラリンピックで、数多くのEVや自動運転車を走らせる狙いは、EVや自動運転技術の普及の気運を高めることのはずであった。
しかし、コロナ禍によって、そうした狙いがすべて延期という憂き目にあった。
2021年夏に、もしも東京オリンピック・パラリンピックが無事に開催できるとなれば、そうしたEVや自動運転系の計画も復活することだろう。東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツというだけでなく、日本のクルマの新たな扉を開ける重要なイベントという側面もある。なんとかコロナ禍がおさまることを祈るばかりだ。