【走り出し、すぐ体感】スズキ 新型ソリオ/バンディット試乗 どこが変わった? 荷室/内装/マイルドHVを評価

公開 : 2020.12.26 17:45  更新 : 2021.12.27 23:50

静音性/コーナリングは?

先代と共通のホイールベースから想像がつくと思うが、プラットフォームはキャリーオーバー。ただし、構造用接着剤の採用やリアフェンダーライニングの全面化など骨格からサスペンションまで細かな改良が加えられた。

その効果は走り出してすぐに理解できる。

スズキ・ソリオ・ハイブリッドMZ(メロウディープレッドパール)。マイルドHVのリチウムイオンバッテリーは、助手席下に収まるため、乗員スペースに影響はない。
スズキソリオ・ハイブリッドMZ(メロウディープレッドパール)。マイルドHVのリチウムイオンバッテリーは、助手席下に収まるため、乗員スペースに影響はない。    池之平昌信

第一のポイントは静粛性である。ロードノイズの耳当たりがいい。

シャーという高音域が目立ったり、音量音質の変化が大きいと薄っぺらな印象を受けるが、ソリオは路面舗装状態の変化が大きい状況でも落ち着いている。

上級クラスのような遮音性はないものの加速時エンジン騒音も穏やかであり、会話やオーディオの邪魔になりにくいのが長所だ。

フットワークもなかなかのレベル。

従来車もたっぷりとしたストロークを使い、日常域の乗り心地には優れていたのだが、新型になってそこに安定感が加わった。

サスの動き出しは緩いのだが、ストローク速度の抑制がうまく、大きめのストロークをゆったりと使い、揺れ返しも少ない。ハイト系特有の頭の重さを意識させないロール感も好印象。

粘りはあるが締まりは程々というフットワークなのでハンドリングは小気味よさに欠くのだが、高速直進やコーナリングでの挙動は安定している。パワートレインの印象同様にちょっとした遠出も苦にならないタイプだ。

ADASのあり/なし

新型のセールスポイントの1つが運転支援機能。

その核になるのがACCの全車速型へのグレードアップなのだが、全車速型とはいえ電子制御パーキングブレーキを採用していないので停車は最大で2秒程度。車線維持支援は逸脱警報のみで、操舵補正機能はなし。

好みが別れるセンターメーターレイアウトだが、そのぶん、こんな場所に大きな収納ボックス/ETC車載器/USBソケットが。また、ドライバーに必要な情報は、視線の先のヘッドアップディスプレイで確認できる(MZ/バンディットMV)。
好みが別れるセンターメーターレイアウトだが、そのぶん、こんな場所に大きな収納ボックス/ETC車載器/USBソケットが。また、ドライバーに必要な情報は、視線の先のヘッドアップディスプレイで確認できる(MZ/バンディットMV)。    池之平昌信

前走車の加減速が頻繁でも早めの加減速で自車は速度変化は穏やかに、という具合にACCの車間距離維持機能はこなれた印象を受けた。

スモールクラスの運転支援機能水準の高まりを考えると操舵補正LKAがないのは多少不満だが、短中距離を主用途とするなら十分だろう。なお、ACCはハイブリッド車(MX/MZ/MV)に標準装着される。

進入禁止や一時停止を標識通過前に表示する標識認識機能はもちろん、今や安全の定番機能となっている誤発進抑制は前後進で機能する。

スズキセーフティサポートなら標準で

車体周辺モニターは俯瞰表示だけでなく、前後は左右の死角表示も可能。

ハイブリッド車に設定された工場装着ナビとのセットOPだが、それ以外の支援機能はスズキセーフティサポート装着車に標準装着。

ACCは全車速追従機能付きにアップグレード。写真は、全方位モニター(室外視点モード)。試乗車はスズキセーフティサポート装着で、全方位モニター用カメラパッケージ、全方位モニター付きメモリーナビゲーションを装備。
ACCは全車速追従機能付きにアップグレード。写真は、全方位モニター(室外視点モード)。試乗車はスズキセーフティサポート装着で、全方位モニター用カメラパッケージ、全方位モニター付きメモリーナビゲーションを装備。    池之平昌信

安全&運転支援を充実させたら高額OPでビックリとならないのも安心だ。

新型は、従来車と比べると内外装ともに大人っぽくなったように思えた。ファミリー色が減少し、雰囲気に落ち着きが出たと言い換えてもいいだろう。

ファミリー層向けのタウン&レジャー用途向けのハイト系というコンセプトは変わっていないが、内外装デザインや快適性、走りの安心感と運転支援機能の進化でポストファミリーのダウンサイザー適性がさらに向上。

基本コンセプトを継承しつつ着実な進化と汎用性の拡大を図っていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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