【レクサス、セダンを重んじる】レクサスLS/IS試乗 LS「まるで泳いでいる」 IS、要望に寄り添う
公開 : 2020.12.30 11:05 更新 : 2020.12.30 22:10
レクサスらしさをどう表現するのか?
次に、ISに乗った。
一部メディアは今秋、ISの開発部隊となった「トヨタ・テクニカル・センター下山」で最新ISを試乗しているが、筆者は今回の公道試乗が新IS初体験となった。
試乗会場で配置された、VR(ヴァーチャル・リアリティ)による下山での試乗も体験した。ドライバーを務めるのは、IS開発主査の小林直樹氏だ。
下山は、日本のテストコースでは異例の起伏が大きい中での曲がり込みが急なコースレイアウトが特長で、独ニュルブルクリンクを彷彿させる。
もちろん、新ISは下山のみならず、東富士研究所内のワインディング試走路や世界各地の一般路と高速道路で、走りを極めてきた。
実際に富士スピードウェイを出て御殿場市周辺を走り、最も強く感じたことは、ロードホールディングス性の良さだ。
いわゆる「足(サスペンション)がよく動く」ことで、クルマ全体の動きに無駄がなく、ドライバーの意思に対して正確かつ丁寧に走行状況をフィードバックしてくれる。
この感覚は、先に乗ったLSでの「泳いでいる感じ」とは違う。
LSとIS、ボディの大きさや、車格の違いは当然あるが、レクサスとしてLSとISそれぞれで「レクサスらしさをどう表現するのか?」を突き詰めた結果だと思う。
その上で、IS開発陣にはこだわりがある。
IS、あえてプラットフォーム継承の理由
IS試乗後、IS開発担当者とISそのもの、レクサスブランド、さらにセダンというカテゴリーについてなど、多角的な意見交換をした。
その中で、彼がまず指摘したのが、ISのプラットフォームについてだ。
トヨタのGA-Lプラットフォームを、先代から継承した。同プラットフォームはモデルラインナップを離れたGS、また現行RCで使われている。
新ISの開発は2017年にスタートしたが、その時点で新規プラットフォームTNGAに刷新するか、それともGA-Lを継承するかの検討し、それぞれのプラットフォームでの試作車を用意してさらなる検討を進めた結果、GA-L継承を決めたという。
決め手は、2013年のISフルモデルチェンジ以来に溜まった知見により、ISの弱点は明確化されていた。
そこを徹底的に直す方が、TNGAでのゼロ出発の開発よりも、ISを本当に欲しいと思ってもらえるユーザーに対して、新ISの良さを強くアピールできる、という判断だった。
これこそが、レクサスが貫く「オールウェイズ・オン」であり、その成果を試乗の中で実感できた。特に、IS 350は感性に訴えるクルマの動きとエンジンサウンドのマッチングが良かった。
セダンは、けっこう楽しい。
富士山麓で新しくなったLSとISに乗って、素直にそう思った。