【どこ行くシビック】ユニクロっぽかった初代 アメリカ偏向プラス/マイナス 問われるホンダ新戦略

公開 : 2021.01.04 07:05

シビックホンダの成長と迷いの象徴

そもそも、初代シビックでCVCC開発を急いだのは、アメリカの排気ガス規制(マスキー法)への対応があった。

ホンダとしては、日本国内でトヨタ日産の牙城を崩すことが極めて難しい状況であり、ならば排気ガス規制強化によって今後は日本車の得意分野である小型車市場の拡大が見込めるアメリカで勝負を賭けたのだ。

ホンダ・シビック・フェリオ
ホンダ・シビック・フェリオ    ホンダ

2020年末時点で、ホンダは営業利益の約半分を北米市場に依存しているが、その背景には、初代シビックをきっかけとして、70年代当時のホンダ経営陣が描いた未来図が実現していると見るべきだ。

別の見方をすると、アメリカ優先の志向から結局抜け出せなくなっていることが、現在のホンダの弱みであり、そこから抜け出す方策について、ホンダは思い悩んでいるのだと思う。

初代からさらに時代を進めると、80年代の2代目はキープコンセプトとなり、日本ではシビックのスーパーシビックのワンメークレースも開催された。

その後、90年代まではシビックの基本路線が継承されていく。

それが2000年代に入り、経済新興国の成長が顕著になる中、世界6拠点化による2016年世界販売600万台構想という多品種大量生産を目指す中、シビックの存在意義が大きく変わっていった。

ホンダ・シビック、どこへ行く?

8代目では、フィットをベースとする日欧シビックと、Cセグメントとしての北米シビックが併存するという、シビックブランドの分離が起こる。

さらに、9代目は北米で販売現場からの指摘によって導入2年でデザインに大きく手を加えるという事態に陥った。

ホンダ・シビック・プロトタイプ
ホンダ・シビック・プロトタイプ    ホンダ

当時、アメリカ各地で取材し、日米のホンダ関係者の心の迷いを実感した。

さらに、2010年代半ばになると、北米で主力マーケットがC/DセグメントセダンからコンパクトSUVへのシフトが顕著になり、その流れは2020年代に入っても継続している。

直近では、2020年1月~11月のアメリカ累積販売台数で、シビックが24万0178台(前年同期比20.4%減)に対して、CR-Vは29万5382台(14.8%減)となり、コロナ禍での影響もCR-Vの方が少ない。

さて、今後のシビックはどうなるのか?

日本ではタイプRに加えて、2010年以来7年ぶりに復活したハッチバックがある。国内の主力モデルはNボックス、フィット、フリードであり、果たして次期シビックは日本市場を残すのか?

また、海外市場の動向を鑑み、日本でも政府方針として2030年代に向けた電動化シフトが加速する中、70年代のCVCCのような次世代技術がシビックをベースに世界に広まる可能性はあるのか?

ホンダにとって、過去の成長や、それぞれの時代での迷いの象徴であったシビック。

さらなる未来の姿に期待したい。

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