【聖地はドイツにあった】マツダ・ミュージアム 世界最大級の展示内容 100年の歴史に浸る

公開 : 2021.01.05 16:25

ウォルター・フレイのコレクション

ウォルター・フレイのコレクションは、今から40年前の1980年に購入したコスモから始まった。アウグスブルクに最初のマツダディーラーをオープンした3年後のことだ。

長年にわたり、世界中から購入したもので少しずつコレクションを増やしてきたが、きちんと展示できるようになったのは2017年のことだった。フレイとその息子、ヨアヒムとマルクスは、1897年に建てられた路面電車の車両基地を購入し、全面的に改装してマツダに関するあらゆるものを展示する場所とした。

マツダREPU
マツダREPU

現在は約50台のクルマが展示されているが、150台近くのコレクションの中から定期的に展示車両を変更しており、その数は今後も増え続けるだろう。しかし、恒久的に展示されているのは、ウォルターの情熱の始まりとなったコスモである。

ここからはミュージアムに保管・展示されている車両を紹介する。

1960年 マツダR360

1960年に発売されたマツダ初の乗用車R360は、瞬く間に軽自動車市場の65%、日本国内の新車販売台数の15%を占めた。356ccの4ストロークエンジンを搭載し、4輪独立懸架式サスペンションを採用。6年間生産された。

1969年 マツダ・ルーチェR130

ジョルジェット・ジウジアーロがベルトーネ時代にスタイリングを担当したこのゴージャスなピラーレスクーペは、マツダで唯一の前輪駆動のロータリーであった。128psのツインローターエンジンと4速MTを搭載し、3年間で976台のみが生産された。

1974年 マツダREPU

働き者のピックアップトラックに高回転のロータリーエンジンはあまり似合わないが、それでもマツダが搭載を止めることはなかった。米国とカナダでのみ販売されたこのクルマはREPU(ロータリーエンジン・ピックアップ)と呼ばれ、4キャブレーターのツインローターで最高7000rpmの回転数を誇る。1974年から1977年にかけて約1万5000台が生産され、現在では米国のコレクターの間で珍重されている。

マイクロバスにもロータリー?

1975年式 マツダ・ロードペーサー

ウォルター・フレイのお気に入りのロードペーサーは、ホールデンのセダンがベースとなっている。トヨタクラウンに対抗するため、マツダはオーストラリア製の大型ボディに1.3Lのロータリーエンジンを搭載した。残念なことに、このモデルは遅かった上に価格が高かったため、わずか800台しか販売されず、2年後の1977年に生産が終了した。

1976年 マツダ・パークウェイ・ロータリー26

おそらく最も奇妙なロータリー搭載車はパークウェイだろう。RX-7のツインローターエンジンを発展させたものを搭載した26人乗りのマイクロバスで、最高出力137psを発揮。最高速度120km/hに達した。燃費は恐ろしいものだっただろう。

1977年 マツダRX-5

マツダ・パークウェイ
マツダ・パークウェイ

マルクス・フレイが英国で入手した、ロータリーエンジンを搭載したRX-5の欧州仕様という希少な1台。元オーナーからオンラインで購入した後、フレイは2週間の休暇を利用して英国に行き、その後ドイツに持ち帰った。このクルマは、彼のコレクションの中でも特にお気に入りの1台である。

1977年 マツダ323

ウォルター・フレイがディーラーを開いたときに発売された323は、マツダがついに欧州に進出する足がかりとなったクルマである。後輪駆動のレイアウトで、ライバルとは一線を画していたが、広々としていて運転しやすく、信頼性も高かった。展示されているグリーンの車両は、広島からドイツに送られたショーカーの1つで、現社長をはじめ、多くの来場者のサインが入っている。

1984年 マツダRX-7

RX-7専用のコーナーがあり、3つのモデルがそれぞれ1台ずつ展示されている。初期のターボチャージャー搭載モデルは、運転ができなかったフェリックス・ヴァンケルに与えられたものだ。彼は自分の代わりに運転手を雇い、信号待ちで出会ったポルシェとの即興レースによく参加させていたという。

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