【トヨタGRヤリスは高い?】競技用グレードの「RC」に注目 我慢ポイントもあるがコスパ最強か
公開 : 2021.01.07 05:45 更新 : 2021.10.13 12:05
当然、我慢ポイントも
一方で室内に乗り込むと、たしかに快適装備のレベルは落ちる。
そもそもドアロック解除は非接触式のスマートキーではなくリモコン・ドアロックだし、スターターもプッシュ式ではなくシリンダー式でどことなく懐かしい。でも、ここはグッと我慢だ。
コックピットまわりは、ステアリングこそ革巻きで上位グレードと同様だが、シフトノブやパーキングブレーキレバーのグリップ部は質素なタイプとなり、ダッシュボードからはシルバーの加飾が省かれてチープな雰囲気となる。しかも、表面処理もソフトパッドではなくなるから、質感はかなりダウン。これは割り切るしかないだろう。
ちょっとした問題といえばオーディオが備わらず、ハーネスも組み込まれていないから販売店オプションや社外品も組み込めないこと。
これはスマホとブルートゥース・スピーカーあたりで解決してもいいし、どうやらアフター品としてオーディオを組み込めるキットを用意するショップが出てきそうな気配だからそれを待つのも手といえそうだ。
実はこの「RC」の快適性において最大のポイントはエアコンが組み込まれていないこと。だが、それは心配には及ばない。メーカーオプションで装着することができ、価格は13万2000円と常識の範囲内だ。
それより気を付けたいのは、衝突被害軽減ブレーキといった先進安全装備の類は搭載がないこと。これはオプションでも用意できないことかもしれない。
しかし、「スポーツカーなんだからなくても気にしない」という人は少なくないだろうし、そこが割り切れれば何の問題にもならない。ACCがないことなんて、この最高峰のドライビング体験をもたらしてくれる「スポーツカー」を前にたいした障害ではないはずだ。
「RC」はむしろ安い?
以上、車両価格330万円に18インチパッケージが4万6200円、そしてエアコンの13万2000円を足して合計347万8200円。
それが「リーズナブル」にGRヤリスのターボ、しかも4WDモデルを手に入れられる価格である。
その価格は、通常のカタログモデルである「RZ」に対して48万1800円も安い。そして中身は上位モデルと同じ走行性能を備え、競技ベースモデルとはいえ見た目に安っぽさはなく、エアコンも付いて日常生活にも問題なく使えるのだからコストパフォーマンスは抜群というほかない。
とにかく声を大にして言いたいのは、「GRヤリスは高いから購入に踏み出せない」と考えているのなら、ぜひ「RC」を検討するべきだということ。約350万円でトヨタ渾身のスポーツカーが手に入るのだから。
ところで、1989年に発売された当時の最強モデル日産スカイラインGT-Rの価格は445万円(税抜きなので税率をあわせて今の表記にすると489万5000円)だった。
そんなR32型GT-Rとほぼ同じパワーを持ち、同様に高機能の4WDシステムを備え、アルミの外板を多く採用するとともにルーフはカーボンになり、走りの水準は大きく高まった最新スポーツカーが347万8200円。
そう考えると、GRヤリス「RC」の価格は「驚きの安さ」と判断しない理由が見当たらないと感じるのは気のせいだろうか。もしかすると、「RZ」の396万円でもバーゲンプライスなのかもしれない。