【「運転」どう変わる】自動運転「レベル3」 事故の際、責任は? ホンダは世界初の型式指定
公開 : 2021.01.18 05:45 更新 : 2021.10.22 10:13
ホンダは自動運転レベル3に求められる国土交通省の型式指定を取得し、レジェンドで実用化します。レベル3の技術の搭載で、日常の運転はどのように変わるのでしょうか。
自動運転レベル3の型式指定を世界初取得
ステアリング、アクセル、ブレーキを車両が制御する運転支援機能は、もともと日本車の得意分野だった。
例えば3代目の三菱デボネアは1992年に発売されたが、レーダーセンサーを使って車間距離を自動制御するクルーズコントロールを採用していた。
定速走行装置の補助機能で、先行車との車間距離が詰まると警報を発したり減速する程度だったが「これなら使える」と感心させられた。いい換えればそれまでのクルーズコントロールは、設定速度で走るだけだったから、加減速を伴う日本の高速道路ではほとんど役に立たなかった。
2000年には2代目セレナが「車間自動制御システム」を採用した。これもレーダーセンサーで先行車を認識して、車間距離を自動制御しながら追従走行する機能だ。この時もブレーキ制御はなかったが、2代目セレナはCVT(無段変速AT)を使う。
変速できるギア比が幅広いため、エンジンブレーキを強力に利かせることも可能だ。ブレーキ制御がなくても、車間距離を積極的に自動調節できた。
このように日本のメーカーは早い時期にクルーズコントロールを手掛けたが、その後の商品化は海外メーカーに負けている印象もあった。
今後はこの流れが変わるかも知れない。レジェンドが自動運転レベル3の型式指定を取得したからだ。国土交通省によると「レベル3の型式指定は世界で初めて」だという。
作動 高速道路/自動車専用道路の渋滞時
政府は自動運転をレベル分けしており、レベル1とレベル2は、ドライバーが制御を監視する運転支援機能だ。
これがレベル3に高まると、制御はドライバーではなくシステムによって監視される。そのためにドライバーは、システムの作動中であればスマートフォンなどを見ていても良いことになる。
作動の条件は、まず高速道路やそこに通じる自動車専用道路であること。天候の悪化もなく、道路上が渋滞やそれに近い混雑状況であることも条件に含まれる。走行速度は、自動運行装置の作動前は30km/h未満、作動後も50km/h以下といった内容だ。
メカニズムとしては、高精度地図、全球測位衛星システム、車両周囲の状況を認識するカメラ/レーダー/ライダー、運転者をチェックするドライバー・モニタリング・カメラなどがある。
レジェンドのレベル3に基づく自動運行装置は、前述の通り30km/h未満で作動を開始して、50km/hを超えると解除される。従って使用できるのは、主に高速道路や自動車専用道路における渋滞時のみだ。
それでも長時間の渋滞は頻繁に発生している。スバルのアイサイトXなど、渋滞時に手離し運転の可能な運転支援機能は既に登場したが、レジェンドはこれを自動運転の領域まで高めた。渋滞時の運転はクルマに任せ、ドライバーが監視しないで済むことは、疲労を抑える上で大きなメリットになる。
また、前方を注視する必要がなく、スマートフォンなどを使えれば、渋滞中に仕事をすることも可能だ。今までの渋滞は、ドライバーにとってムダな時間だったが、それをビジネスに充てられると移動の効率は大幅に向上する。