【ミニのゆくえ】もはや「ミニ」じゃない? リスク承知で大胆な変革 一歩先行く姿勢が勝利の方程式か
公開 : 2021.01.09 05:45
ブランド浸透はジワジワと
そんな新生ミニに対する思いが、いつから変わり始めたのか、はっきりとした記憶がない。
ミニがブランド戦略として様々な試みを継続的におこなう中で、新生ミニの姿がミニとしての当たり前の姿へと、筆者を含めて多くのユーザーの心の中で徐々に変化していった。これがブランドのDNA効果だ。
一般的に、自動車に限らずブランドを構築するには時間がかかるものだが、ミニの場合、伝統のミニとの距離感をどう保つべきか、新生ミニの初代では、そうした課題をBMW側はいつも抱いていたように、世界各地の現場で感じた。
それが新生ミニ2代目となり、事態は大きく変わった。多モデル化の始まりだ。クラブマンは、伝統のミニを踏まえると許容範囲だが、カントリーマン(日本でのクロスオーバー)には正直驚いた。コンセプトモデルが2008年パリサロンで世界初披露された時、筆者を含めて日米欧メディア関係者で「本当にこの方向性で良いのか?」と、ミニの未来に対して疑問を持った人が多かった。
いま(2020年末)になった思えば、その後の2010年代の世界的なC/Dセグメント・セダンからSUVシフトへの大波が来る前に、ミニのSUVシフトがおこなわれたことになる。新生ミニは、初代が誕生期、2代目が飛躍を目指してリスク覚悟の挑戦期、そして3代目が熟成期へと続いていく。
新生4代目ではなく、次世代の初代へ
筆者は2019年、シェアリング関連の長期試乗で、ミニ・クロスオーバーのクーパーSDオール4を北陸地域で活用した。前述の、2代目カントリーマン(クロスオーバー)コンセプト初対面から11年が経っていた。
エクステリアとインテリアの質感、乗り味などが大きくリファインされ、そうした進化は、「ミニらしさ」というブランドイメージを明確に打ち出していると感じた。そして、さまざまな生活シーンを共にしたミニ・クロスオーバーを通じて、北陸の人々と親交を深めることができた。
こうして、伝統ミニ時代、そして新生ミニ20年間を経たいま、新生4代目へと2023年フルモデルチェンジが明らかになった。
ミニ関係者も取材で答えているように、次期モデルはミニとしてかなり大きなステップアップになると思う。つまり、新生ミニ時代が終わり、次世代ミニの始まりだ。新生ミニ4代目ではなく、次世代の初代となる。
キーポイントはもちろん、電動化だ。ミニの本国英国はもとより、BMW本国のドイツ、アメリカ、中国、そして日本でも政府や州政府方針として強く打ち出している、2030年代の本格的な電動化時代。
次世代ミニは、EVとPHEVを軸足とした、電動化による新しいライフスタイルを世界的に広める重要な役割を果たすことになるだろう。