【スポーツモードでも快適至極】メルセデス・ベンツSクラス S 500 4マティックLへ試乗 3.0LのMHV
公開 : 2021.01.17 10:25
メルセデス・ベンツのフラッグシップ・サルーン、Sクラス。今回試乗したのはロングホイールベース版の「L」で、リムジンにふさわしい快適性だけでなく、優れたハンドリングも備えているようです。英国編集部が一般道で評価しました。
その時の気分をSクラスに話しかける
メルセデス・ベンツSクラスのリアシートへ座ったら、その時の気分をクルマに話しかけるとイイ。
「ヘイ、メルセデス。ちょっとストレスが溜まっている」。と口にすれば、巨大なセンターモニターのグラフィックが変わり、マッサージ機能が動き出し、ステレオが心地いい音楽を再生し始める。
でも、それぞれの機能をどう調整するべきか考えてしまい、余計ストレスに感じるかもしれない。慣れるまでは。
最新のメルセデス・ベンツSクラスを、英国の道で試乗するのは今回が初めて。車内に実装されたテクノロジーは、かなり複雑な構成のようだ。
本格的な電動化技術を採用したSクラスも登場予定だが、試乗したS500は従来的な3.0L直列6気筒ターボガソリンを搭載。最高出力436ps、最大トルク53.6kg-mを発揮し、4マティックの場合は9速ATを介して四輪を駆動する。
控えめなマイルド・ハイブリッドとして、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)を搭載するものの、パワートレインとしては従来的な技術といえる。根強い支持を集めるであろう、ディーゼルエンジンも英国では選択できる予定にある。
今回のSクラスは「L」ということで、ロングホイールベース版。広大なリアシート空間が得られるから、英国で売れるSクラスの80%がLだという。主に運転するオーナーなら、SUVを選ぶ時代だからかもしれない。
スポーツモードでも快適性は変わらない
最新のSクラスがベースとするのは、メルセデス・ベンツのモジュラー・リア・アーキテクチャ(MRA)の改良版。アルミニウムを多用しているものの、ロングホイールベース版の全長は5.3mもあるため、車重は1990kgに仕上がっている。
サスペンションは、四輪ともにエアスプリング。最小回転直径を最大1.9m小さくできる後輪操舵システムもオプションで指定でき、試乗車には装備されていた。こちらのシステムも複雑だ。
Sクラスの場合、ホイールベースの長短のほか、四輪駆動か後輪駆動か、ホイールサイズなどで回転直径は様々。組み合わせで12種類にもなるという。試乗車の場合、最小回転直径は10.9m。後輪操舵がないと、12.8mに大きくなる。
小回りが効くから、Sクラスは想像した以上に運転しやすい。さらに突出した洗練度も、運転を安楽にしてくれている。
車外からの見事な隔離性と、他に類を見ない乗り心地を期待するだろう。ほぼ、それが叶えられている。強い入力が加わると、エアサスペンションが路面の乱れを時々車内に届けることはある。しかし、Sクラス並みに快適なサルーンは限られる。
筆者が深く感心したことの1つが、ドライブモードを切り替えた時の反応。最も活発なモードを選択すると、快適性はほとんど損なわないまま姿勢制御が引き締められ、正確なステアリングホイールはレスポンスが高まる。
全長5.3mのリムジンでは必要ない積極さで、道を進んでいく。四輪駆動システムが見事なアドバンテージを与え、後輪操舵によって身のこなしも抜群に良い。