【ベストはリラックス・ドライブ】ボルボXC60 T6リチャージ Rデザインへ英国試乗 PHEV

公開 : 2021.01.18 10:25  更新 : 2021.07.27 14:51

プラグイン・ハイブリッドのボルボXC60。競合モデルと比べて高めの価格ながら、ルックスや実用性、市街地での走りなど優れた特徴も少なくありません。乗り心地に気になる部分があるものの、訴求力は高いと英国編集部は評価します。

ライバルより少し高めのXC60 T6リチャージ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
電動化技術の搭載を積極的に進めるボルボ。プラグイン・ハイブリッドモデル(PHEV)も、すべてのモデルに用意されている。次のクルマをハイブリッドにしたいと考えるユーザーにとって、ボルボは選択肢から外せない1社になるだろう。

2019年、ボルボは過去30年間で一番多くの台数を英国で販売している。CO2の排出量削減と電動化技術に対する計画は、ビジネスとしても好調のようだ。

ボルボXC60 T6リチャージ Rデザイン AWD(英国仕様)
ボルボXC60 T6リチャージ Rデザイン AWD(英国仕様)

今回試乗したミドルクラスのSUV、XC60の場合、英国には3種類のPHEVが導入されている。すべて車両中央のトランスミッション・トンネル部分に11.6kWhの駆動用バッテリーを搭載。88psを発揮する電気モーターを荷室下にレイアウトし、後輪を駆動する。

T6の場合は、シンプルな2.0L 4気筒ガソリン・ターボエンジンを載せ、ハイブリッド・モード時などで前輪を回す。上位モデルのT8とポールスター・エンジニアード仕様の場合、スーパーチャージャーとターボチャージャーでエンジンが過給される。

このXC60 T6リチャージは、3種類あるPHEVの中では一番安い設定となる。それでも英国での価格は5万ポンド(700万円)を超え、手頃といえる金額ではない。

マイルド・ハイブリッドのXC60より8000ポンド(112万円)も高い。BMWランドローバーの競合PHEVと比べても、価格はXC60の方が上になる。

会社からの貸与車両として乗る場合、英国ならPHEVは現物給付税での恩恵が得られる。だがCO2の排出量やEVモードでの航続距離を比較すると、減税率はベストと呼べるほどではない。

T8より静寂性や洗練性に優れる

それでもボルボXC60は運転しやすく、長距離ドライブにも好適。車内は広く、見た目もイイ。特に質感に優れるインテリアのデザインが、心地良い空間を生んでいる。

モニター式のデジタルメーターも、縦型モニターによるセンサス・コネクトと呼ばれるインフォテインメント・システムも、見やすいし使いやすい。ただし、スマートフォンのミラーリング機能が標準装備されていない点は、少し不便さも感じる。

ボルボXC60 T6リチャージ Rデザイン AWD(英国仕様)
ボルボXC60 T6リチャージ Rデザイン AWD(英国仕様)

インフォテインメント・システムは、一般的なものとインターフェイスが異なり、慣れるまでに時間が必要。でも一度覚えてしまえば、多くの機能はスワイプやタッチなど、簡単な指の操作だけで済ませられるようになる。

XC60の定員は5名だが、床下中央の膨らんだ部分にバッテリーが搭載されるため、リアシートの中央に座る人は峰をまたぐ姿勢となる。そのかわり荷室の容量は通常のエンジンモデルとほぼ変わらず、フロア下の収納部分が若干狭くなる程度。

T6リチャージのエンジンにはスーパーチャージャーが付かないが、動的性能がT8より低いという印象よりも、静寂性や洗練性が高まった感覚の方が強い。そんな静かで穏やかな走りは、XC60の雰囲気に合っている。

リアタイヤを駆動する電気モーターは、都市部の交通に良くマッチしている。軽快なスタートダッシュと扱いやすさを兼ね備え、65km/h程度の速度域までスマートにまかなえる。ハイブリッド・モードでは、本当に必要な時以外エンジンが始動することはない。

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