【再評価】トヨタMR2(AW11)に試乗 後編 小さくて軽くて鋭い
公開 : 2021.01.26 17:05 更新 : 2021.10.09 22:31
トヨタ・ミドシップ滅亡の理由?
ドライバーの意のままに荷重を分配でき、しかし慣性モーメントが小さいため、必要以上にタイヤに荷重が残らない。AW11はそんなミドシップの特性を簡潔に表現できる1台だった。
AW11より大きく、高出力のミドシップ・スポーツカーは色々とある。けれど「運動性能を実感する」というテーマにおいてこのクルマをこえることは難しいだろう。
それでも不思議なのは、なぜミドシップという究極のレイアウトがトヨタでは息絶え、他メーカーでもほとんど見当たらない点ではないか?
国産ではホンダのS660かNSXの二択である。実はこの2台にミドシップ繁栄の難しさと、生き残るための答えが見て取れる。
ミドシップは重く大きくなると本来の味である慣性モーメントの小ささを体現しにくくなる。一方、昨今のクルマは重く大きくなってきている。となるとミドシップを成立させるためにはS660のようにコンパクトであるか、もしくはNSXのようにハイテク四駆でハンドリングを調律し、刺激と安全性を両立させる必要があるのだ。
AW11のハンドリングはこの上なく鋭く楽しいが、そのスイートスポットは四駆のGRヤリスのように広くはない。ミドシップは純度が高まるほど、万人向けではなくなる傾向があるのだ。
乗り換えたいと思える1台がないとオーナーは言うが、これに代わるものはたしかに存在しないと思う。