【GRスーパースポーツの兄弟】ガズー・レーシング、WEC 2021年参戦マシン GR010ハイブリッド 今シーズンの見どころは?
公開 : 2021.01.15 08:02 更新 : 2022.11.01 08:47
GRスーパースポーツ(仮称)のレース仕様、WEC 2021のトヨタ参戦マシンが発表。「GR010ハイブリッド」の詳細と、今シーズンのWECの見どころをご紹介します。
WEC新規則 トヨタ参戦マシン発表
トヨタ・ガズー・レーシング(TGR)が、2021年シーズンのWEC最高峰クラスを闘う「GR010ハイブリッド」を発表した。
これまでのLMP1にかわる規則、ル・マン・ハイパーカー(LMH)レギュレーションに則ったプロトタイプ・レーシングカーということになる。
今回の写真を見て思い出す方もいると思うが、その外観は、2020年の東京オートサロンでコンセプトが発表された「GRスーパースポーツ(仮称)」を想わせるもの。
そのレーシング・バージョンが「GR010ハイブリッド」と考えていい。
TGRのWECチームを率いる村田久武代表は、「GR010ハイブリッドは、TS050ハイブリッドのDNAを受け継ぎ、開発中のGRスーパースポーツ(仮称)の兄弟とも言える重要なクルマ」と位置付けており、「お客様が将来ドライブするクルマのプレビューでもある」と話す。
GR010ハイブリッド パワーユニットは?
独ケルンのTGRチームと、東富士研究所を拠点にするハイブリッドパワートレイン・チームが一体となり開発したマシン「GR010ハイブリッド」は、3.5L V6ツインターボ(680ps)が後輪を駆動。
さらに、MGU(モータージェネレーターユニット)がフロントアクスルに配置され272psを発揮することで、四輪駆動のパッケージとなっている。
つまり、WECプロジェクト開始以来、初めてリアのMGUを廃し、フロントにのみハイブリッドモーター搭載したレイアウトを採用。
このため「GR010ハイブリッド」には、スターターモーターが組み込まれ、リアブレーキは油圧のみによって作動することになる。
レギュレーション変更 ラップタイムは変わる?
昨シーズンのル・マン24時間を制し、ワールドチャンピオンを獲得したTGRは、同じドライバー・ラインナップで9シーズン目に挑む。
「GR010ハイブリッド」の7号車は、ドライバーチャンピオンである、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスが担当。
8号車を、セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレーがドライブする。
TS050ハイブリッドと比べて162kg重く、パワーが32%絞られた(レギュレーションによるコスト削減の一環)影響で、TGRによれば「ル・マンのラップタイムは10秒程度遅くなる見込み」だという。
また、新レギュレーションでは、シーズン中に特定の車体パッケージを持ち込むことが禁じられている。
例えば、ダウンフォースが求められるサーキットにおいても、低ドラッグが要求されるコースにおいても、同じ仕様で戦わなければならない。
なお、ボディサイズは250mm長く、100mmワイドになり、100mm高くなった。
これに加えて、初めて導入される「BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)」に対応する戦略眼が求められる。