【忘れてはならない1.17】阪神・淡路大震災から学ぶ交通インフラ 当時の被害/現在の整備状況は?
公開 : 2021.01.17 05:45
大震災を教訓 インフラのあり方は
交通インフラ
阪神・淡路大震災での教訓として道路など交通に関する災害復興について呈する。
高速道路が大きな被害を受けていたが、その代わりになる道路が不十分で、セーフティーネットがないような状態になっていた。
そこで、幹線道路が通行止めになったとしても、それをう回できるルートの確立が重要である。
これは災害時の避難経路の確保のみならず、通常時の交通渋滞を緩和する効果も期待できる。また、環境への配慮もできるだろう。
道路の種別、すなわち高速道や幹線道路などをしっかりと区分けした道路網の整備は重要である。災害時も活用できて、こうした分別化は交通モビリティを良くし、交通事故を減らす効果が期待できる。
情報のあり方
交通に関する情報(規制など)はテレビやラジオ、また最近だとナビゲーションなどでも表示されるが、当時、ドライバーは実際の混雑や規制情報などを把握できずにいた。
正確で詳細な情報を提供するのに、現在のナビゲーション・システムの活用は効果があるが、災害時の刻々と変化する道路事情を提供できるナビゲーションや情報提供の仕方、そしてツールの開発が望まれる。また鉄道などの交通機関の災害時の他社線やバス利用を加味した非常用乗り換えアプリの充実が求められる。
震災直後、バスレーンの代わりが幹線の国道に設置されていた。交通規制もあるなかで災害時のバスレーンを有効に活用したい。
交通手段の選択肢
いくつかの交通手段の選択肢を用意するほうがさらに効果が見込めるだろう。地震直後は、直下型地震の影響で特有のキャパシティーが激減していた。そこで利用できる道路をいかに効果的に利用するかが鍵であった。
交通規制をする場合に利用する車両の限定化や、道路交通システムの更なる研究開発の進展も不可欠である。
また、既存の道路が災害時では車線数の変更が可能だったり、別の道路への転用が可能にするなど、自由度の高い道路であることが検討されるべきだ。
阪神高速の災害対策 事故の際も効果
被害の大きかった高速道を管理する阪神高速では現在までに、交通管制センターで、地震計などの気象観測装置、テレビカメラ・車両検知器などの情報収集装置、道路パトロールカーなどから、道路に関するあらゆる情報を24時間体制で収集し、利用者の安全を確保するため、さまざまな方法での情報提供、事故・災害の防止、各種の支援活動をおこなっている。
震度5弱以上の地震が発生すると、ただちに入口を閉鎖して通行止めの措置をとり、緊急点検を実施する。交通量監視カメラで撮影した映像を、交通管制センターのグラフィックパネルにリアルタイムで表示し、交通状況を視覚的に確認している。省エネ、長寿命のLED照明を採用している。 照明柱は、耐震性の高いストレート型ポールを採用し、強度もアップさせている。道路情報板は、視認性の高いLED(発光ダイオード)方式を採用している。
地震発生時には「地震発生 注意」、「地震発生 速度落とせ」、「地震発生 止まれ」の3段階のメッセージが表示される。メッセージが表示されたときは、道路情報ラジオで状況確認をおこなってもらい、1路線ごとに2~4か所の放送区間を設置し、放送区間ごとに異なる音声情報を提供している。
災害発生時に迅速な対応を一元的かつ総合的におこなうために、拠点となる防災センターを設置している。防災センターは、各部署に設置された防災端末や高速道路上のカメラなどと通信回線で接続され、災害対応業務を円滑に実施する機能を確保している。
各路線24時間体制で地震動を監視して、データはリアルタイムで交通管制センターへ送られる。非常口は240か所に設置されており、設置場所は側壁の誘導標で表示している。また、緊急時には各出入口も避難路として使用できる。非常駐車帯は455か所に設置されており、非常時には車を駐車することができる。
また、非常電話が併設され、交通管制センターに連絡をとることができる。非常電話は事故・故障、および災害などの非常時に交通管制センターへ連絡することができる。なお、ボタン操作だけでも通報がおこなえるようにしてある。