【ルノー変革3段階】量より質の経営体質に 日産・三菱とアライアンス強化 ディーゼルは商業向け少数派に
公開 : 2021.01.16 19:45
ルノーが新しい中期経営計画「ルノルーション」を発表。旧体制(ゴーン体制)の方針から大きく転換することになりました。電動化戦略が注目されます。
ルノルーションって何?
いきなり示された「ルノルーション」という言葉。
仏ルノーらしく、黄色地に黒いロゴだが、かっちりとしたフォントではなく、遊び心満載のイラストっぽい雰囲気だ……。
そうした見た目とは裏腹に、その内容はかなりシビアだ。ルノルーションは、ルノーの2020~2025年の中期経営計画である。
発音が似ている言葉には、リノベーション(改良)、イノベーション(大きな変革)、エボルーション(進化)があるが、こうしたさまざまな「前向きに変わっていくこと」をルノーらしく実行する計画、というルノーとして強い気持ちを示したといえる。
今回、ルノルーションについてオンライン形式で世界に向けて発表したのは、2020年7月にルノーCEOとなったルカ・デメオ氏。
イタリア生まれだが、ルノーを経て地元フィアット、さらにフォルクスワーゲン・グループに転じて営業・マーケティング・ブランディングの領域で活躍し、今回再び古巣ルノーに戻ってきた。
欧州ブランド各社の実情を十分に知ったうえで、フランスを代表する企業の大変革に着手する。その構成は、大きく3つの段階を踏む。
第1期(2020~2023年)が経営の足固めの時期。第2期(2023~2025年)が新車攻勢による大幅なブランド転換の時期。そして、第3期(2025年以降)が業界全体をけん引する存在としての飛躍期だ。
規模の適正化
会見の冒頭、デメオCEOは旧体制(ゴーン体制)における規模拡大路線による非効率な経営体制からの脱却を掲げた。
旧体制では2017年10月に中期経営計画「ドライブ・ザ・フューチャー」(2017~2022)を公表しており、その道半ばで経営方針の大転換となる。
旧計画では、2022年目標に世界市場で500万台の製造・販売としてきたが、2019年時点では360万台にとどまっている状況だ。販売先の内訳を見ると、欧州30か国で全体の75%を占め、残り25%が100か国以上となっている。
これに対して「より多くの国に事業を広がることが、企業としての収益性を高める結果になっていない」と、現経営陣は分析した。
このほか、他メーカーとルノーをさまざまな観点から比較しており、例えば最終組立ラインでの部品点数などがかなり多く、生産の効率性に対してネガティブな要因となっている。
または、ルノー傘下で価格帯の低いダチアとルノーが、モデルによって市場で重複しているなど、根本的に見直すべき点が多いとした。そのうえで、ルノルーション第一期(2020~2023年)には、大きく4つの点に注力して足場固めをいそぐ。
1つは、台当たりの収益性を挙げるとともに、顧客満足度を上げること。2つに、商品企画・研究開発の期間短縮によるコスト削減。具体的には現在の4年弱から3年弱へ約1年間短縮する。