【日産ノート】ボディサイズ、あえて大きくならなかったワケは マーチが関係?
公開 : 2021.01.21 05:45 更新 : 2021.10.13 12:04
欧州向けマイクラは日本にはなじまない
また、マーチは欧州では「マイクラ」という名前で販売されていて、2代目は1993年に欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞する(日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞している)など評価が高いコンパクトカーだった。
しかし、現行型は新興国向けのチープなタイプはさすがに西欧で受け入れられない(品質感だけでなく走りの面でも欧州で求められる高速巡行性能を持ち合わせていない)と判断され、欧州ではプラットフォームからして新興国向けとは異なる独自のモデルへと進化しているのだ。
ただし、その欧州モデルはしっかりとコストがかかったつくりで、ルノー・ルーテシアの先代モデルと設計の共用部分が多く、生産もルノーが担当。
「これをマーチとして日本で売って欲しい」という声が日本でもある。しかし、もし日本へ導入するとなると、国産コンパクトカーとしては高額なプライスタグが避けられず、しかも保守的なユーザーが嫌う3ナンバーサイズ。好事家ウケはするだろうが多くの一般ユーザーを振り向かせるのは難しいだろう。そんな背景もあるから、日本に導入する可能性は限りなくゼロに近い。
そこで導き出される答えは、日本には、新興国向けに開発されたモデルや欧州向けとは別の、日本ジャストのコンパクトカーが日産には必要だということ。それが実質日本専用車のノート(新型ノートは実質的に日本向けモデルでアジア地域にわずかが輸出される予定があるものの生産の99%は日本向け)なのは間違いない。
そして、多くの人に愛された3代目までのマーチの役割もノートが担うことになったと考えるのが自然だろう。
つまり、ノートの全長が短くなったのは、日本市場においてかつてマーチが担当していたニーズも受け入れる必要があるから………そう解釈するとすべてが腑に落ちる。
フルモデルチェンジしないマーチ
ところで、新型ノートが登場した後もマーチは国内販売が続く。
それは新型ノートがハイブリッド専用車となったことで「安いガソリン車のコンパクトカー」というニーズを満たすとともに、社用車やレンタカーなど法人ニーズを埋める役割もあるからに他ならない。
日本における日産のコンパクトカーがマーチとノートの2本立てあることは今後もしばらくは変わらないだろう。しかし、それぞれのポジションは以前と変化が生じていて、ノートのフルモデルチェンジはかつてのマーチの守備範囲までフォローする役割が明確となった変化だったといえる。