【読んでみた】「今夜は車内でおやすみなさい。」小田原ドラゴン Nバンで車中泊

公開 : 2021.01.27 05:45  更新 : 2021.10.09 23:41

ダメな大人がNバンを買い、試行錯誤しながら車中泊するという親近感あるあるなエッセイ「今夜は車内でおやすみなさい。」は「クルマ好き」の視点からも楽しめます。

「小田原ドラゴン」という漫画家

text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

「小田原ドラゴン」という漫画家を覚えているであろうか。

週刊漫画「ヤングマガジン」にて、1990年代末から2000年代にかけて「おやすみなさい」や「チェリーナイツ」などのギャグマンガを連載していた。

「今夜は車内でおやすみなさい。」小田原ドラゴン 講談社 定価:本体630円(税別) 電子版あり
「今夜は車内でおやすみなさい。」小田原ドラゴン 講談社 定価:本体630円(税別) 電子版あり

講談社の作品紹介ページには「ペンを握って300日で『週刊ヤングマガジン』に掲載」とあるように絵は素朴だ。

モテない、ダメな主人公が右往左往するという、相当にクセの強い作品ばかりであった。

そのため大ヒットした作品はなく、世間的な知名度でいえば、これも相当に低い。いってしまえば「売れない漫画家」である。

しかし、AUTOCAR JAPANをみるようなクルマ好きの、しかも40代以上であれば、小田原ドラゴンの漫画を目にした人が多いのではなだろうか。

なぜなら、同時期の「ヤングマガジン」には、「イニシャルD」や「湾岸ミッドナイト」などのクルマ愛好家必読の作品が連載されていた。

当時、リアルタイムでそうした漫画を楽しんでいた人であれば、小田原ドラゴンの作品も目にしていたことだろう。

そんな小田原ドラゴンの最新作「今夜は車内でおやすみなさい。」が、2021年1月6日に発売された。

テーマは「車中泊」。主人公である売れない漫画家「シャーク小笠原(50歳)」が車中泊に挑戦するというストーリー。微妙に著者と主人公がオーバーラップする、セミドキュメンタリー作品だ。

人気の高い「車中泊」をテーマに

今作品で「車中泊」がテーマとなった理由は、作品中によると著者が興味を持ったというのがきっかけだが、編集部による推しもある。

今、マンガやテレビのドラマではキャンプなどのアウトドアをテーマにした作品が増えている。漫画でいえば「ゆるキャン△」(あfろ:著)、「ふたりソロキャンプ」(出端祐大:著)、「山と食欲と私」(信濃川日出雄:著)、「ヤマノススメ」(しろ:著)などがヒットしており、それらを原作としたテレビドラマも製作されている。

人気の軽キャンパー(ダイハツ・ハイゼットがベース)
人気の軽キャンパー(ダイハツ・ハイゼットがベース)

そして、芸人のヒロシのソロキャンプのユーチューブが話題となり、さらには車中泊をテーマにしたテレビドラマ「絶メシロード」(テレビ東京)までもが制作されている。

マンガやテレビだけでなく、実際にも昨年のコロナ禍で3密を避けながら遊びに行ける場として、都心部最寄りのキャンプ場はどこも来場者数が急増しているという。

クルマでアウトドアといえば、キャンピングカーが本格的ではあるが、そのエントリーという位置づけとして、車中泊がある。

車中泊の場合、クルマの中にトイレや流し台といった水回りが必要ないため、本格キャンピングカーのような水関係の補給&破棄などの面倒がないし、クルマも簡素で安価にできるのだ。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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