【煮詰められた4代目】ランドローバー・レンジローバーD300へ試乗 5代目の登場間近

公開 : 2021.01.24 10:25  更新 : 2021.01.25 08:24

エントリーグレードでも、レンジローバーなら望むだけの高級感に浸れると評価する英国編集部。洗練され上品で、能力に長け、運転する喜びが味わえるラグジュアリーSUVです。モデル末期となる4代目のD300を試乗しました。

エントリーグレードでも装備は豪華

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マイルド・ハイブリッド化された、ランドローバー製のまったく新しい3.0Lの直列6気筒ディーゼルエンジン。フルサイズのSUV、最新のレンジローバーへもD350とD300という2種類の出力設定が与えられ、搭載されている。

今回試乗するのは、穏やかな方のD300。トリムグレードはヴォーグで、英国ではレンジローバーのエントリーグレードに当たる。標準仕様なら、価格は8万3000ポンド(1162万円)から。

ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)

上を見れば、レンジローバーの天井はかなり高い。ロング・ホイールベース版のシャシーに、565psを生み出すスーパーチャージドV8エンジンが載るSVオートバイオグラフィでは、18万ポンド(2520万円)へ上昇する。

エントリーグレードといっても、2021年だからシートはクロス張りでもないし、サイドウインドウも手動ではない。ディーゼルとはいえ、エンジンも4気筒ではない。

このD300が装備するのは、車高調整が可能なエアサスペンションに、ローレンジも備わるパーマネント式の四輪駆動システム。車内には3ゾーン・エアコンが備わり、メーターパネルはモニター式。

バンパー下で足を振れば開くパワーテールゲートに、冷却機能も付いた小物入れ兼アームレストもある。追加費用なしで英国ではWiFiスポット機能と、デジタル・テレビチューナーも付いてくる。

ピヴィ・プロと呼ばれるJLR最新のインフォテインメント・システムは、まだレンジローバーには搭載されていない。しかしタッチプロ・デュオと呼ばれる現行のシステムでも、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応する。

たくましいエンジンに静寂な車内

D300の場合、D350と比べてエンジンは50psと5.5kg-mだけ穏やかで、0-100km/h加速時間は0.5秒ほど遅れる。そのかわり、燃費はわずかに良い。

実際に道へ出れば、充分以上の動的性能を備え扱いやすい。過給されるV8エンジンを搭載するレンジローバーと比べても、引けを取らないほど運転は安楽。回転域を問わずトルクは豊かで、中間加速でもキックダウンなしに速度を高めていける余力もある。

ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバーD300 ヴォーグ(英国仕様)

高負荷時でも滑らかなフィーリングは失われず、3500rpmを超えても軽快に吹け上がる。サウンドは聞いていて心地良いわけではないものの、不快と思うことはないはずだ。

走行中の洗練度も非常に高い。高速道路を走行している場合、直列6気筒ディーゼルのハミングは遠くで奏でられる程度。風切り音も抑え込まれている。一番大きく耳に届くのはロードノイズだが、それも不満を抱くほどのレベルではない。

試乗車には21インチホイールに、ピレリ・スコーピオン・ヴェルデというオールシーズン・タイヤを履いていた。この組み合わせですら、ロードノイズは最上級に洗練されたリムジンより、わずかに大きいだけ。

ラグジュアリーな車内空間を優先し、20インチホイールと標準のタイヤを選べば、さらに静かになるだろう。お好みなら。

4代目レンジローバーの静かな車内で過ごす時間は、とても心地良い。搭載された技術には、オールドスクールな優しさがある。

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