フォルクスワーゲン・ポロ 1.4 TSI ACT
公開 : 2012.02.03 00:01 更新 : 2017.05.29 18:59
■どんなクルマ?
われわれは最近、シリンダー・ストップという技術について聞かされた。既知の事実だが、来る2014年9月から実施されるEU6規制なる排出ガス規制をクリアすることが、自動車会社各社は強制されている。それをクリアするために、主に大きなエンジン、例えばアウディA8やベントレー・コンティネンタルGTに間もなく搭載される予定の新しい4.0リッター・ツインターボV8エンジンに、このテクノロジーが使用されている。
ところが、そのテクノロジーが小さなエンジンにも摘要できるということを証明するために、フォルクスワーゲンはアウディの協力を得て、1.4リッター4気筒のターボチャージド・エンジンに画期的なバルブシステムを組み込んだバージョンを公開した。
このシステムは、エンジンに軽い負荷しかかかっていない時に、つまり街中やハイウェイでコンスタントなスピードで走行している時などに、中央にある2つのシリンダの動きを休止してしまおうというもの。そのため、その時は700cc2気筒分の燃料消費量とCo2排出量で済むという代物だ。
新しいシリンダー・ストップ機能を持つEA211ユニットは、古いEA11ユニットと共通のφ82のボアを持つ。フォルクスワーゲンは、このEA211ユニットを、そう遅くない時期に様々なモデルに搭載する予定であり、既にプロトタイプはドライブできる状態にあった。
現行のターボチャージ付きの4気筒TSIエンジンとの大きな違いは、TSIエンジンはボアがφ74.5と小さく、ストロークが80mmと大きいことだ。この変化がEA211の特徴であり、また、圧縮比もあげられている。
■どんな感じ?
ポロ1.2TSIと比べて34bhpと7.6kg-m大きい138bhpのパワーと25.4kg-mのトルクを1500rpmで発揮するエンジンは、満足いく7速DSGギアボックスとの組み合わせもあって、リラックスしてクルージングを楽しめる。公式なものではないが、0-100km/hは8.0秒で、最高速もデュアルシフトの7速DSGで200km/hをマークする。
そのパフォーマンスは賞賛に値する。特に、4シリンダーから2シリンダーへの移行が継ぎ目なく行われるという事実。1250rpmを超えてスロットル開度が安定すると2シリンダーへ移行するが、それはインストルメントパネルの表示と、僅かに変わる排気音からしか知ることができないほどだ。
緩やかにスロットルを踏んでいけば、そのパワーフィールからも2シリンダー・モードで動いていることは明白だ。しかし、シティスピードであれば、パワー不足は感じない。また、エンジン回転が4000rpmを超えれば自動的に4シリンダー・モードとなり、本来のエンジンの持つパフォーマンスを発揮してくれる。
中央の2本のシリンダーがストップしている時の冷却方法については、フォルクスワーゲンはその技術公開を拒んでいる。2つのシリンダーがシャットダウンしている間も、水とオイルが回っているというが。
■「買い」か?
ACTテクノロジーを搭載したポロは、まだプロトタイプだ。確かなことは、シリンダーストップ・システムが、パフォーマンスを犠牲にせずに、高い燃費と低いCo2排出量をマークするということである。全体として、新しいシステムは、100kmあたり0.4リッターの燃費の向上と、8g/kmのCo2排出量低減を成し遂げている。1.4TSI ACTは、燃費とエコという面で1.6TDIの良きライバルになろう。
(グレッグ・ケーブル)
フォルクスワーゲン・ポロ 1.4 TSI ACT (プロトタイプ)
価格 | NA |
最高速度 | 200km/h |
0-100km/h加速 | 8.0秒 |
燃費 | NA |
Co2排出量 | NA |
乾燥重量 | NA |
エンジン | 直列4気筒1390cc |
最高出力 | 138bhp/4500rpm-6000rpm |
最大トルク | 25.4kg-m/1500rpm-4000rpm |
ギアボックス | 7速DSG |