【SUVならディーゼル、は過日】フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIへ試乗 小変更
公開 : 2021.01.26 10:25
マイナーチェンジで、シャープなルックスに磨きをかけたティグアン。フォルクスワーゲンの中でも一番の人気モデルですが、今まで欧州の売れ筋だったディーゼルは、有力な選択肢ではなくなった様子。英国編集部が評価しました。
もくじ
ーTDIが登場したのは30年以上前
ー狭まりつつあるディーゼルの行動範囲
ープレミアムなライバルに伍するインテリア
ー訴求力を高めるティグアンだが
ーフォルクスワーゲン・ティグアン 2.0 TDIエレガンス(英国仕様)のスペック
TDIが登場したのは30年以上前
ターボ付きのダイレクト・インジェクションは、フォルクスワーゲン・グループが開発した技術の1つ。1989年に、アウディ100 TDIに搭載されたのが初めてだった。その26年後、同じグループはあまり望ましくないニュースを生み出してしまうのだが。
ディーゼルエンジンで、シリンダー内に軽油を直接噴射するという技術は新しいものではない。排気ガスを利用し圧縮された空気をシリンダーに送り、より力強い燃焼を促す技術も昔からある。
今回試乗するフォルクスワーゲンの人気モデル、ティグアンに搭載されているエンジンは、そんなディーゼルターボ。電動化技術を推し進めるフォルクスワーゲンにあって、未来の目指す道とは違うところを歩んでいるように思える。
2021年の今、フォルクスワーゲンのディーラーに3万ポンド(420万円)の予算で向かったとする。欧州なら、この2.0L 4気筒ディーゼルターボのティグアンも選べるが、航続距離420kmの未来的な純EVのハッチバックも選択できる。
純EVのサブブランド、ID.のモデルラインナップが拡大するにつれ、ディーゼルエンジンを載せたクルマは姿を消していくことだろう。だがもうしばらくは、欧州では欠くことのできない選択肢でもあるのだろう。
フォルクスワーゲンによれば、2021年に英国で売れるティグアンで、20%がディーゼルエンジンになるだろうと予測されている。税制面でも有利な、プラグイン・ハイブリッド版が2月に登場したとしても。
狭まりつつあるディーゼルの行動範囲
実際、環境負荷のマイナス面は否定できないが、ディーゼルエンジンのメリットも否定はできない。同等の排気量を持つガソリンエンジンでは、同等の長距離性能を得ることが難しい。
ディーゼルならではの低回転域の太いトルクは、5人家族とその荷物を乗せ、ルーフレールに自転車を積んでも、軽々とクロスオーバーを引っ張ってくれる。反面、従来ほどエコノミーに走れなくなりつつあることも、現実としてある。
英国でも、CO2排出量の多いクルマに対して通行料が発生するローエミッション・ゾーンは、全国で広がっている。ディーゼルエンジンのクルマが、自由に走れるエリアは狭まりつつあるのだ。
欧州の都市部では、純EV以外のクルマが侵入できないエリアも増えていく。そんな市街地に住んでいて、高速道路を走る機会も少ないなら、ディーゼルエンジンは候補にすら入らないはず。
小排気量のガソリン・ターボエンジンの優れた能力は、われわれもよく理解している。車重1.5tあるクロスオーバーの動力源として一切不足はない。だからこそ、4気筒ターボディーゼルを走らせてみると、古く不適切に感じてしまう。
このティグアン 2.0 TDIには、マイルド・ハイブリッドすら載っていない。ブレーキペダルを踏んでも、運動エネルギーを電気エネルギーとして回収してくれない。
ディーゼルエンジンは、郊外では燃費が良い。しかしストップ&ゴーの多い都市部では、燃費を伸ばすことは難しい。