【鳥肌モノの再会】アルファ・ロメオ・スパイダー2000 カムテールでグリーンのS2 前編
公開 : 2021.02.07 07:25
カバーが掛けられ徐々に乗らなくなった
「近所の老人が、執拗にキーでボディへ傷を付けていたんです。最終的には、警察に通報ですよ。1997年に廃業したベーコン工場を購入することになり、アルファ・ロメオにカバーを掛けて保管できるようになりました」
周囲へさらされなくなったスパイダーは、多くの擦り傷や衝突の跡が修理された。ボディは、オリジナルカラーのヴェルデ・ピノ、パイン・グリーンへ塗り直された。
「小さなへこみもありました。酔った男性が、通りに停めてあったスパイダーを蹴ったんです。彼を追いかけ、警察へ連れて行ったこともありましたね」
「修理後はキビキビと走れるように、手入れを重ねました。ビニール製のシートはレザーのものに入れ替えて、シフトノブも新調。モデルもしていたイアン・エリスというイケメンが整備士で、ガレージにスパイダーを持って行くことも楽しみでした」
カバーのかかったアルファ・ロメオへは、徐々に乗る機会が減っていった。購入から30年後、スパイダーを手放そうと決断する時がやってくる。
「ロンドンは渋滞が多く、排気ガスを吸いながらオープンで走るというのは、楽しいものではありません。乗る機会が少なくなり、ホコリがボディにたまり、維持が面倒に感じるようになったんです」
「整備士のイアンは、乗らないなら売ってみては、と何度か聞いてきました。アルファ・ロメオのS2スパイダーを探しているという男性と、話をすることに。2014年ですね」
アルファ・ロメオを買い直そうと決意
「昔に、スカッシュ・クラブで一緒になったことのある人でした。彼は、わたしとクルマのことも覚えていたので、売却を決めたんです。スパイダーが似合う人物でした。アルファ・ロメオが走り去っていった時は、泣きました」
「売ったお金でベルスタッフというブランドのジャケットを買い、毎日着ていたので、最初の2年ほどは後悔していませんでした。スパイダーには、ほとんど乗れていませんでしたからね」
2016年、ふるさとのオックスフォードシャーへペインは戻る。その土地は、アルファ・ロメオとの思い出に溢れた場所だった。「なにが引き金だったのかは、わかりません。友人がジェンセン・インターセプターを買ったのが、きっかけになったのかもしれないわ」
「アルファ・ロメオを買い直そうと決めて、クルマを探し始めたのは2019年。何台か見ましたが、希望のスパイダーではありませんでした。多くがレッドでしたが、欲しいのはグリーンのボディ」
「現代的なスポーツカーはどうだろうと、ジャガーFタイプも試乗しています。高くて買えないのに」
「わたしのグリーンのスパイダーを購入した男性へ、連絡を取ろうかと何度も悩みました。もし手放すなら、最初に連絡して欲しいと。下書きはするものの、躊躇して、結局メールは送れませんでした」
諦めかけていたペインだったが、運命に導かれるように偶然の出会いを果たす。「ロンドンの美容師に、たまたま会いに出かけた時。彼はクラシックカーの大ファンで、スパイダーをもう一度手に入れたいと、強い思いを話したかったんです」
この続きは後編にて。