メルセデス・ベンツG63AMG

公開 : 2012.05.16 18:21  更新 : 2017.05.23 16:40

■どんなクルマ?

33年も経てば多くのクルマは新しい世代に引き継がれているか、あるいは消滅してしまっているかだ。しかし、メルセデスのGクラスはどちらでもない。1979年にデビューしたGクラスは、当初、国連軍のために考えられたモデルであった。そして、今年、今までで最も大きなフェイスリフトを受けながらも生産し続けられている。

そのトップ・モデルの新しいG63AMGは、5.5リッター・ツイン・ターボのV8ガソリン・エンジンを搭載し、7速のオートマティック・ギアボックスが装備されるモデルである。G55AMGに代わるこのモデルは、ミリタリー・グレードの装備と、スーパーカー・レベルのパフォーマンスとサウンドトラックを併せ持っている。メルセデスによれば、0-100km/hは5.4秒、そして最高速度は210km/hだという。

■どんな感じ?

直線路での過激な加速は、ドライビング・ポジションが高いこともあってドライバーにとっては忘れがたい経験となるはずだ。275/50の20インチのタイヤは最悪の天候の中であっても十二分なトラクションを引き出してくれる。

残念ながら、その他のドライビング・フィールは古めかしいものとなってしまっている。典型的な高速巡航速度では、高い風切り音が入っていくる。古式ゆかしきリサーキュレーティング・ボールのステアリングは、ひどく感覚がデッドで切れ込みが激しい。他のメルセデスのオフローダーに使用されている油圧スタビライザー・バーもないため、傾きも過度である。コーナーにアプローチする際には、十分にスピードを下げる必要があるのだ。

固められたサスペンションは引き締まった乗り心地を与えてくれる。ちなみに、そのシャシーは、時代遅れのパナール・ロッド・サスペンションとラダー・フレームの組み合わせからなる。

そのエンジンにはアイドリング・ストップを含む最新の燃料節約テクノロジーが用いられているが、それは飢えた野獣のようで、7.3km/lという燃費を記録する。

■「買い」か?

すべてに古くさいG63AMGだが、それが買い手を思いとどまらせることにはならないだろう。120,000ポンド(1,540万円)をこのモデルに払うオーナーは、クルマが持つイメージを第一の購買理由に上げるはずだからだ。現代のスタンダードからすれば、G63AMGは恐竜のようなモデルだ。ダイナミックな欠点が沢山あるにもかかわらず、そのドライブはイベントですらある。旧いG55AMG同様に、可処分所得の多く、一般群衆とは異なったクルマを持つことに欲求を持つ特別な顧客のための1台なのだ。

(グレッグ・ケーブル)

メルセデス・ベンツG63 AMG

価格 120,000ポンド(1,540万円)
最高速度 210km/h
0-100km/h加速 5.4秒
燃費 7.3km/l
Co2排出量 322g/km
乾燥重量 2475kg
エンジン V8 5461ccツインターボ
最高出力 536bhp/5500rpm
最大トルク 77.4kg-m/2000rpm
ギアボックス 7速オートマティック

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