【詳細データテスト】ロールス・ロイス・ゴースト なめらかな駆動系 快いハンドリング 極上の静粛性
公開 : 2021.01.23 20:25
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
現代のロールス・ロイスに共通することだが、ホイールベースが長いので、V12ユニットは完全に前車軸より後方へ積まれ、結果として驚くほど良好な前後重量配分を実現している。
新型ゴーストもその例に漏れず、公称値は50:50を謳う。これとキレのあるサスペンションやエアスプリングが相まって、走りには明らかに感じ取れるバランスと落ち着きをもたらしている。
そのことが、ゴーストのもっとも記憶に残る、そして楽しめる走りのキャラクターの確固たる基礎となっている。それは、ステアリングの性格だ。
細いステアリングリムながら握り心地はよく、当初は不思議なくらい軽いと感じるが、モノリスのようなノーズを右に左に振りはじめると、すぐさま直観的に操れるようになる。
著しいセルフセンタリングはないが、不安定さとは無縁で、これがじつに状況を改善するように感じられるのだ。いっぽうで、ギアリングはゆったりしているが、ダルくはない。
抜群に優れたセットアップと一貫した手応えは、スポーツカーも真っ青で、ゴーストの気質にすばらしく合っている。四輪操舵が作動するような低速でタイトに曲がる際だけは、ステアリングの一貫性が乱れそうになるが、ステアリングを限界まで切ろうとした際に突如手応えが抜けるのは、じっくり観察したから気づいたことで、批判するほどのことではない。
ハンドリングを試す気になるようなステアリングの質に欠ける高級車はじつに多い。しかし、ゴーストは違う。B級道路の裏道に入りたいとは思わないだろうが、やる気にさせられるようなルートで、馬脚をあらわすようなものではない。
タイトなコーナーでは、思った通りアンダーステアを避けることはできず、スロットルでコーナリングをアジャストできるようなシャシーでもない。しかし、高速コーナでみせるオーバーステア寄りのニュートラルなバランスは、掛け値なしに満足できるものだ。そしていうまでもなく、その根底にあるのは、正確で巨体を器用に操るステアリングだ。
たしかに、ベントレーよりフワフワとボディが動き、ロールも明らかに感じられる。とはいえ、それほど大きくなく、抑えが効いている。リアシートに乗るクルマだと思うかもしれないが、オーナーが自らステアリングホイールを握りたくなる要素は確かにある。