【なぜ?】マツダMX-30 EVモデル 航続距離、控えめ 背景に「マツダらしさ」
公開 : 2021.01.28 11:55 更新 : 2021.03.07 00:12
マツダMX-30 EV版。リーフなどに比べ満充電での航続距離が短い理由をマツダの会見から紐解きます。
航続距離は控えめ
マツダが事前にアナウンスしていたとおり、マツダ初の量産型EVのMX-30 EVモデルの日本発売が発表された。
リース販売ではなく、ベースモデル451万円で通常販売する。同モデルは2020年9月から欧州で先行発売されており、すでに累計1万台を受注した。AUTOCAR英国編集部を含めて欧州メディアはMX-30 EVモデルの公道試乗をおこなっている。
そうしたなかで、日本のユーザーが気になるのは航続距離だろう。満充電で256km(WLTC:国際調和排気ガス 燃費試験法)と、一般的なガソリン車と比べると半分程度というイメージだ。
また、量産型EVとして日本でもすっかりお馴染みになった日産リーフの場合、ベースモデルの航続距離は満充電で322km、また上位モデルでは458kmとMX-30 EVモデルと比べて長い。
周知のとおり、EVの航続距離は搭載する駆動用電池の容量に応じて長くなる。MX-30 EVモデルが電池容量35.5kWhに対して、リーフのベースモデルは40kWh、また上位モデルは62kWhと大きい。
このほか、海外メーカーではテスラ・モデルSがロングレンジプラスで652km、テスラ・モデル3がスタンダードレンジプラスで448km、そしてジャガーIペイスが438kmなどである。
では、MX-30 EVモデルの航続距離、つまり搭載する電池容量をマツダはどうやって決めたのだろうか?
マツダの新たな挑戦
MX-30の開発責任者、竹内都美子主査はオンライン開催した商品説明会で、MX-30 EVについて「マツダのEVの第1歩をこのクルマで提案する」と表現した。
マツダの電動化戦略は、2017年に発表したマツダZoom-Zoom宣言2030が基盤にある。ここでは、2030年までにマツダが製造・販売するすべてをクルマを電動化するとしている。
周知のとおり、この電動化はEVと同義ではなく、動力補助用モーターを発電機としても使うマイルドハイブリッドや、モーター駆動がエンジン駆動と切り離してEVモード走行も可能ないわゆるストロングハイブリッド、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッド、さらに水素を燃料とする電気自動車である燃料電池車を含めて、これらすべてを電動車と表現するのが一般的だ。
実は、マツダはMX-30 EVモデルの前にも2010年代前半にデミオEVを量産したことがあるが、当時のマツダ幹部は「対応するのは致し方ないことだ」と表現した。
あくまでも、米カリフォルニア州でのZEV(ゼロエミッションビークル)規制への適合のため、事実上の数合わせとして対応せざるを得なかったのだ。
こうした、「米ZEV法ありき」という法規制を最優先した考え方が、長きに渡り自動車メーカーのEV戦略にあてはまる。だが、MX-30 EVモデルでは、規制ありきを超える「マツダらしさ」を感じる。