【盛者必衰】セダンは消えていくだけ? まだ見捨てるべきではない理由
公開 : 2021.01.31 05:45 更新 : 2021.10.22 10:13
ドイツのプレミアムブランドは順調
セダンの人気は下がっているが、メルセデス・ベンツやBMWといったドイツのプレミアムブランドでは、今でも車種が豊富だ。
新型車も登場しており、メルセデス・ベンツではAクラス・セダン、BMWも2シリーズにグランクーペと呼ばれる天井の低いセダンを加えた。いずれもボディがコンパクトで、日本の道路環境でも使いやすい。輸入も順調だ。
メルセデス・ベンツの販売店では、セダンの豊富なラインナップについて、以下のように説明した。
「メルセデス・ベンツのお客様には、今でもセダンを好む方が多い。フォーマルな雰囲気とか、セダン特有の快適な乗り心地が、メルセデス・ベンツのブランドイメージにあっている」
「BMWなどにも当てはまる話だが、セダンに乗ると、メルセデス・ブランドの良さを実感できる。そのためか、セダンを好むお客様がメルセデス・ベンツに集まり、国産セダンからの乗り替えも増えた」
セダンは全高が1500mm以下だから重心も低く、後席とトランクスペース(荷室)の間には骨格や隔壁があるからボディ剛性を高めやすい。セダンの低重心と高剛性は、乗り心地と走行安定性を高める効果が大きく、この特徴はプレミアムブランドのコンセプトとも合致する。
最近はメルセデス・ベンツやBMWもSUVに力を入れるが、セダンに乗ると、プレミアムブランドの良さをさらに強く実感できる。
つまりプレミアムブランドとセダンは親和性が高く、国産セダンの衰退もあって「セダンを好むお客様がメルセデス・ベンツに集まる」状況が生まれた。
そして輸入車の販売ランキングを見ても、BMW 3シリーズ、メルセデス・ベンツのCクラス/CLA/Eクラスは上位に入っている。
今でも注目すべきカテゴリー
セダンはSUVの流行などによって売れ行きを相対的に下げており、世界的に見ても新型車が減った。日本では車種の廃止も進む。
しかしメルセデス・ベンツやBMWを見ればわかるとおり、セダンには優れた走行安定性と乗り心地を得やすい特徴がある。
セダンのフォーマルな外観や雰囲気に魅力を感じないユーザーから見ても、安心と快適に直結する走行安定性と乗り心地は大切な要素だろう。セダンの売れ行きが下がっても、その特徴や魅力まで失われたわけではない。
とくに最近は衝突被害軽減ブレーキなど、安全装備に対するユーザーの関心が高い。走行安定性の優れたセダンなら、危険を避ける性能をさらに向上させられる。最近はクラウンをSUVに変更する話まで聞かれるが、セダンを諦めるのはまだはやい。