【見た目と能力の両立】アウディSQ5スポーツバックへ試乗 クーペ風SUV 新登場

公開 : 2021.02.05 10:25

速い走りもリラックス・ドライブも得意

車重は軽くなく、2tを超える。しかし複雑な駆動システムによる相乗効果は素晴らしい。ドライバーの充足感も大きい。

特に、EPCは静止状態からの加速で効果てきめん。従来のディーゼルエンジンより、明らかにアクセルレスポンスが向上している。

アウディQ5スポーツバック 40 TDI クワトロ Sトロニック(欧州仕様)
アウディQ5スポーツバック 40 TDI クワトロ Sトロニック(欧州仕様)

ターボブーストが高まるまでに、まだ一瞬のラグは残っている。しかしその時間は短く、ブーストが高まるやいなや、強力なパワーが放出される。印象的なほどに滑らかで、自然に吹け上がる特長も見逃せない。

速いだけでなく、リラックスした走りにも唸らされる。太いトルクと低回転域での柔軟性や洗練性が融合し、安楽な長距離ドライブも得意分野。70Lの燃料タンクで965kmの航続距離が得られ、性能を考えれば経済性にも驚かされる。

8速ATの素早い動きも、エンジンのレスポンスを引き立てる。市街地を走るようなハーフスロットルでも、郊外の道を積極的に走らせているときでも、変速は滑らか。大きなトルクが入力されても、キビキビと適正なギアを選んでくれる。

エンジンのサウンドも悪くない。4800rpmのレブリミット付近まで引っ張れば、深い唸り声を上げて、たくましさを主張。ディーゼルとしては珍しく、SQ5スポーツバックは音響面でも魅力を感じられる。

その重奏を構成するのが、低いエグゾーストノートと高音域の吸気音。サウンドジェネレーターで合成されているという。ボリュームやトーンは、ドライブモードで変化する。ダイナミックを選べば、生々しい響きを楽しみたいドライバーも満足できると思う。

クワトロのトラクションに優れた姿勢制御

SUVでありながらアウディSQ5スポーツバックの動的性能は高い。ドイツのアウトバーンでも、カーブの続くワインディングでも、優れた性能をいかんなく発揮できる。腕利きのドライバーにとって、一体感は不足気味。でも挙動は常に予想しやすい。

組成の良いアダプティブ・タンパーとサスペンションの組み合わせで、姿勢制御は見事。クワトロが出色のトラクションとグリップ力を発揮する。可変レシオのステアリングホイールには充分な手応えがないものの、重み付けは丁度いい。

アウディQ5スポーツバック 40 TDI クワトロ Sトロニック(欧州仕様)
アウディQ5スポーツバック 40 TDI クワトロ Sトロニック(欧州仕様)

乗り心地は、滑らかな路面では穏やかに保たれる。だが管理の悪い路面では、やや車内は乱される。特にダイナミック・モードの乗り心地は硬く、垂直方向の動きは小さくない。路面の起伏に対して、ダイレクトに衝撃が伝わってくる。

インテリアは、基本的に通常のSQ5と変わらない。フロントシート側では、ダッシュボードとインフォテインメント用タッチモニター、モニター式のデジタルメーターなどは同一。

マルチファンクション・ステアリングホイールや、内装トリムの選択肢も変わらない。プラスティック然とした部品も目の届きにくいエリアにあるものの、全体的な質感はかなり高い。

S5と比べて高い着座位置のおかげで、運転席からの視界は良好。いわゆるコマンドポジションも取れる。標準装備のスポーツシートは、サポート性に優れ快適だった。

後方視界は、傾斜するルーフとリアハッチの影響で良いとはいえない。だが、一部のライバルほど死角が多いわけでもない。

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