【純EVハッチバック比較】日産リーフxフォルクスワーゲンID.3 最新版は最良か 前編
公開 : 2021.02.13 09:45 更新 : 2021.05.18 16:19
実際の航続距離はほぼ同じ
もしリチウムイオン・バッテリーが開発の進むソリッドステート・バッテリーに置き換われば、必要な冷却性能も変わり、搭載位置の自由度も増すかもしれない。しかし当面は、このレイアウトが主流になるはず。
重たいバッテリーセルを、可能な限り低い位置へ配置する。動的性能を高めるうえで、ベストの方法だといえる。
ID.3でもリーフでも、バッテリー容量は複数から選べる。今回のID.3の場合は58kWhで、WLTP値での航続距離は418km。リーフはe+という仕様でバッテリーは62kWhあるが、実際に利用できる容量はID.3とほぼ同じ。航続距離は384kmとなる。
カタログ上はそれなりの違いがあるが、比較試乗では1度の充電でほぼ同じ距離を走れた。天候にも依存するが、今回はどちらも約320kmをこなしている。
純EVは、気温が低くなると航続距離も短くなる。一晩充電させたバッテリーも、寒い早朝より温かい昼間の方が、航続距離は少し伸びる。
2台ともに、充電器はタイプ2と呼ばれるものに対応。ID.3ではさらにCCSと呼ばれる急速充電器にも対応し、最大100kWの容量まで受け入れられる。
日産リーフも、構成としては100kWの容量まで許容できそうだが、チャデモ規格のソケットだから、英国にある共用充電器は50kWがほとんど。仮に100kWの充電器があっても、バッテリーが加熱しすぎない範囲で充電時間は自動的に調整される。
エンジンモデルに近いリーフのシルエット
欧州で普及が進む充電器の規格は、CCSとチャデモとが混在している。かつてのビデオ、ベータとVHSのように。英国ではCCSの方が優勢のようだ。日産も欧州で売るEVには、将来的にCCS規格を採用するらしい。
筆者は純EVが好きではある。だが、エンジンモデルのように800km走れるエネルギーを3分で補給できないのか、という議論は避けられない。しばらく解決はできないと思う。
日産リーフは、まだ純EVが珍しい存在だったときに発売された。2代目のリーフも、アーキテクチャは初代と同じものを利用しているため、シルエットは従来のエンジンモデルに近い。親近感を得てもらうためだろう。
リーフのボンネットを開いても、新しい純EVとは違って収納スペースはない。ID.3も同様だが。バッテリーはフロア下でも、モーターや制御機器はすべてボンネット内に収まっている。キャビンとボンネットのシルエットには、折り目がある。
リーフの充電ソケットは、フロントの中央。DC急速充電器の多くは、クルマの反対側まで伸ばすのに充分なケーブル長がないから、賢明な位置だといえる。一方で路肩に充電器がある場合、クルマの駐車枠をはみ出てしまうこともある。
ID.3の場合は、充電ソケットはボディサイドだが、かなり後ろ寄りに付いている。充電器とは逆の向きでクルマを停めても、充電ケーブルはボディの反対側まで届く。
ちなみにロータス・エヴァイヤは、リアの中央にある。これが正解の位置かもしれない。200万ポンド(2億8000万円)もして、最高出力は2000ps以上あるが。
この続きは後編にて。