【純EVハッチバック比較】日産リーフxフォルクスワーゲンID.3 最新版は最良か 後編

公開 : 2021.02.14 09:45  更新 : 2021.05.18 16:19

重いハッチバックとして優れる回頭性

市街地や低速走行時は、このワンペダル・ドライブは驚くほど直感的なものになる。すべての純EVが採用しない理由を、疑問に思うほど。

ID.3は、運転席からの視界に優れる。フロントタイヤには駆動システムがないため、最小回転直径は9.9mと、リーフの11.0mより小回りが効く。全幅も1809mmとコンパクトだから、都市部では乗りやすく感じるだろう。

日産リーフ e+ 3.ゼロ(英国仕様)
日産リーフ e+ 3.ゼロ(英国仕様)

続いてはハンドリングと乗り心地。ID.3が履いていたのは19インチのアルミホイールで、タイヤは215/40というサイズ。リーフの17インチに215/50という組み合わせより、だいぶカッコは良い。しかし、乗り心地では有利になりにくい扁平率といえる。

リーフの全体的な乗り心地は、良好といえる。しかし若干ゴツゴツ感があり、もう少しの洗練度を求めたいところ。

路面が波打っていたり、隆起部分を通過すると、コンバーチブルのようにミラーが振動することもある。ステアリングホイールには、大きな路面からの入力がキックバックとして伝わる場面もあった。

フロントタイヤが駆動を受け持つものの、バッテリーは低い位置で均一に搭載されるため、前後の重量配分は悪くない。1630kgのハッチバックとして、回頭性に優れている。

フォード・フォーカスのような安定感や俊敏性はないものの、活発さは充分にあり、楽しい。コーナーでの立ち上がりでは、トルクステアが看取された。

ドライバーが感じる魅力度としては、ID.3の方が上。ボディはねじり剛性に優れ、路面に隆起部分があっても滑らかに均して通過してくれる。

後輪駆動の特性は純粋に楽しめる

反面、うねりがある路面では垂直方向のボディの動きが大きく、頭が少し揺さぶられることも。姿勢制御はしっかりしており、ステアリングには不要な手応えが伝わらず、反応はリニア。

後輪駆動だから、トルクステアも発生しない。ID.3の方が走りに落ち着きがあり、挙動も予測しやすい。しかも運転が楽しめる。

日産リーフとフォルクスワーゲンID.3
日産リーフとフォルクスワーゲンID.3

ID.3も低重心ではあるものの、リーフより車高が高く、ボディロールは多めに生じる。それでも軽快に旋回し、フロントタイヤのグリップ限界も優れている。

前後の重量配分がエンジンモデルより良好なことに加え、リアエンジン・リアドライブという特性もプラス。フロントタイヤの限界が近いことは、軽くなるステアリングホイールの感触から掴み取れる。

加速時にはリアタイヤに荷重が移動し、グリップ力が高まる。とても気持ちがいい。ポルシェ911ではなく、ルノートゥインゴの走りに似ているが、純粋に好印象な体験だ。

日産リーフの運転の楽しさが、大きく劣るわけではない。それ以外の面でも。だが今回の2台で選ぶなら、インテリアにもアドバンテージを備えるフォルクスワーゲンID.3となるだろう。

多くのモデルがリーフの市場へ参入することで、競争が生まれ走りも良くなる。ID.3はゲームチェンジャーや、革新的といえるほどのモデルではないかもしれない。クラスリーダーともいえない。だが、選ばれるのに充分な内容は備えていると感じた。

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