【大進化のインテリア】ジャガーXF P300 Rダイナミックへ試乗 ハンドリング・サルーン
公開 : 2021.02.10 10:25
インテリアの驚くほどの進化ぶり
フェイスリフトを受けたものの、見た目の変化はとても小さい。フロントバンパーのエアインテークが大きくなり、ヘッドライトがスリムになり、リアのバンパーがスポーティ度を高めた程度。
しかしドアを開いて中に入れば、従来とは別の世界が広がっている。11.4インチの大きなタッチモニターが、上質なダッシュボードに浮かぶタブレットのようにレイアウトされる。センターコンソール自体のデザインも見直され、違和感はない。
エアコンやステレオには実際に押せるボタンが残され、ジャガーの判断は賢明。それでいて、見た目はシャープさを増している。
ステアリングホイールは、純EVのIペイスに採用されているものに近いオシャレなもの。車内全体に整ったデザインが施され、ブランド最高品質といえるほどゴージャスな雰囲気がある。驚くほどの進化だ。
特に試乗車の場合、ブラウンとブラックの配色が効果的だった。パノラミック・ガラスルーフを備え、高速道路の巡航走行は現実を忘れさせるほど快適に過ごせた。
ピヴィ・プロと呼ばれるインフォテインメント・システムも、鮮明なグラフィックが採用され、大幅なアップデートを受けている。ライバルのシステムで超えるのは、BMWのiドライブくらいだろう。
ドライビング体験は、相変わらず惹き込まれる魅力がある。大柄なボディにも関わらず、ステアリング操作に対する反応は繊細で軽快。正確にクルマが向きを変えていく。このクラスでは、最高のステアリング性能だと思う。
直6には及ばない4気筒のインジニウム
XFのアーキテクチャは、アルミニウム製のDプラットフォーム。その優れた特性もしっかり保たれている。直線部分では周期の長い穏やかな揺れに収めつつ、コーナーではしっかり姿勢変化を抑えてくれる。従来より良いかもしれない。
ただし、四輪駆動のP300は少しニュートラルすぎる。後輪駆動のP250なら、より甘美な操縦性を楽しめるはず。19インチに1サイズ落ちるホイールも、荒れた路面の処理を向上させるだろう。
一方でインジニウムと呼ばれる4気筒エンジンは、BMWやメルセデス・ベンツが提供する直列6気筒には及ばない。レンジローバーには6気筒が搭載されているだけに、兄弟ブランドとなるジャガーの上級サルーンで選べないのは残念だ。
P300に搭載される300psを発揮する4気筒も、充分に力強い。だが個性が薄く、パワーはターボに依存しているため、若干の遅れも感取されてしまう。
小柄なクーペのFタイプなら、2.0Lでもよく機能するだろう。だが、1744kgもある大きなサルーンのXFでは、気持ちよく回転数を高めることも難しい。反面、ZF社製8速ATの変速タイミングは良好だった。
秀逸なハンドリングと穏やかな乗り心地を備えた、ジャガーXF。これらの特長は、販売台数を伸ばすことにつながっていなかった。だが今回は違う。刷新されたインテリアと見直された価格は、より多くの人を引きつけられるかもしれない。
ジャガーXF P300 Rダイナミック SE(英国仕様)のスペック
価格:4万1850ポンド(585万円)
全長:4954mm
全幅:1880mm
全高:1457mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:11.6km/L
CO2排出量:193g/km
車両重量:1744kg
パワートレイン:直列4気筒1997ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5500rpm
最大トルク:40.7kg-m/1500-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック