【550psで318km/hのリムジン】ベントレー・フライングスパー V8 W12より107kg軽量
公開 : 2021.02.11 10:25
英国きってのラグジュアリー・サルーンにV8ツインターボ版が登場。W12から失われた部分はほぼなく、むしろ走りの楽しさが増したと英国編集部は評価します。
ベントレーのフラッグシップ・サルーン
ベントレーのラグジュアリー・サルーンに、W型12気筒ではなく、V型8気筒が搭載されている。そもそもフライングスパーは、われわれのお気に入りモデル。そのフロントにひと回り小さなエンジンが載っている。ますます好きになれそうだ。
3世代目となる最新のベントレー・フライングスパー V8の登場を素直に歓迎したい。ミュルザンヌの生産が終了した今、ベントレーにとってはフラッグシップ・サルーンとして位置づけられるクルマになった。
すでに英国編集部では、最新のフライングスパーが先代よりはるかに優れていると理解している。確かに2代目のフライングスパーも、最高速度300km/hオーバーのラグジュアリー・サルーンだった。
ところが、物理的な路面の状況に対して、充分な隔離性を備えていたわけではなかった。速いものの、豪奢さという点では充分ではなかった。
しかし3代目は違う。6.0L W12版の試乗では、速さと豪華さの両立が可能だと、われわれに教えてくれた。ポルシェが、ベントレーの意見を聞きながらフォルクスワーゲン・グループのために開発した、MSBプラットフォームによってそれを実現させていた。
後輪操舵システムや電圧48Vで稼働するアクティブ・アンチロールバーなど、多くのアクティブ・ダイナミクス技術を搭載。W12を載せたフライングスパーでも、腰がありつつ穏やかな乗り心地に仕立ててある。
最高出力は635psに達し、車重は2t以上。しかし、超高速域でも素晴らしく快適だった。
550psでパワーウエイトレシオ229ps/t
では、4.0LのV8エンジンを載せたフライングスパーはどうだろう。実際、失われた部分はほぼない。
最高出力は550psへと小さくなり、最大トルクも91.6kg-mから78.3kg-mへと弱くなる。しかし車重は107kgも軽くなり、身軽さは増している。
メーカーが公表するW12の車両重量は2330kgだが、われわれが計測したときは2500kgあった。つまりV8のフライングスパーは、およそ2400kgだと考えられる。パワーウエイトレシオは、W12の243ps/tに対し229ps/tになる。
最大トルクは、W12とほぼ同じ2000rpmの回転数から得られる。最高速度も、318km/hまで出る。動的性能でいえば、ほとんど遜色ないといっていい。むしろ嬉しいことに、ドライビング体験はより優れる。
動的性能を詰めていく自動車エンジニアに、自分のお気に入りのモデルは何かと尋ねれば、メーカーを問わず大抵は軽いクルマを例に挙げる。その事実が、フライングスパーにも当てはまる。
エンジンノイズは低回転域ではほぼ聞こえず、高回転域まで回すとV8エンジンらしい和音が響く。普通に走っている限り、ボンネット内でどれだけの爆発が起きているのか、ほとんど気づくことはない。
ドライバーが望めば、必要なだけのパワーをすぐに与えてくれる。デュアルクラッチATも優秀。市街地では、トルコン式のATよりわずかに洗練性で及ばないものの、多くの場面でそんなことは気にならない。