【詳細データテスト】マクラーレンGT 融通の効くパワートレイン 鋭いハンドリング 遮音性が最大の弱点
公開 : 2021.02.06 20:25
走り ★★★★★★★★☆☆
マクラーレンのロードカーとしては、これがはじめてかもしれない。速さを二の次にしているのは。ついでにいえば、スローに走っているときでさえ楽しめることを追求しているのも、これまでになかったことだ。
パフォーマンス面で力を注いだのは、ブレーキのフィールや効き方であり、エンジンの低回転でのレスポンスやドライバビリティ、フレキシビリティやエキゾーストノートの豊かな音質なのだと、マクラーレンは説明する。
しかし、われわれはこのGTが、高速クルーズ時に、大陸横断をこなすような長距離向けマシンならそうあってほしい程度に静かだったなら、と思わずにはいられない。その理由は、もう少し後の項で説明しよう。
このクルマのオーナーが恩恵を受けるだろうひとつ目の要素は、マクラーレン基準でみて通常より融通の効く動力性能だ。4.0Lエンジンはショートストローク気味で高回転型のフラットプレーンV8であり、許容回転数は8000rpmを上回る。
しかしブーストが掛かりはじめるのは、ほかのモデルのV8と比べて低い3000rpmから。そのため、頻繁にシフトチェンジして高回転を保たなければレスポンスが鈍る、ということはない。
ギアボックスの変速は手際よく、繋がりはスムースなので、すぐさま活きのよさを感じさせはじめる。シフトダウンなしに、素早い走りをみせることさえあるのだ。いろんな意味で、よりリラックスして乗れるマクラーレンだといえる。
もちろん、絶対的な速さも備えている。滑りやすい路面でさえ、ゼロスタートから3.3秒で97km/hに達し、高回転を保って力強く、そしてドラマティックに駆け抜けていく。
そのうえ、4速固定での48-113km/hでもたったの5.0秒しか必要としない。この点では、91.8kg-mの最大トルクを誇る12気筒のベントレー・コンチネンタルGTにも負けていないのだ。
ブレーキはカーボンセラミックディスクを装着しているが、ペダルフィールは良好。ガツンとクルマを止めるのも、穏やかに減速するのもイージーだ。
サウンドに関しては、ほかのマクラーレンV8ユニットと同じく、常用域や軽負荷時にはフラットで盛り上がりに欠ける。ロングドライブでは静かすぎるようにさえ思えるだろうが、まったく煩わしさを感じさせないともいえる。