アウディA3 2.0TDI スポーツ Sトロニック

公開 : 2012.05.17 12:33  更新 : 2017.05.29 18:18

■どんなクルマ?

フルモデルチェンジを受け、3代目となったアウディA3だ。このA3は、英国のみならず世界で最も売れているアウディということだけでなく、新しいMQBプラットフォームが与えられた最初のVWグループのモデルということでも注目される。

このMQBプラットフォームは、スーパーミニからサルーンまで対応できる許容範囲の広さを持つ。また、その対応の広さだけでなく、より安価により効率的に製造ができ、しかも異なるモデル同士でパーツと生産設備を共有化することも可能としているのも特徴だ。

われわれがテストしたのは、ミッドレンジのスポーツ・トリムを持ち、一般的なFWD駆動、スタンダードな17インチ・アロイ・ホイールを履き、148bhpの2.0リッター・ターボ・ディーゼルを搭載する2.0TDIだ。但し、トランスミッションは、1,480ポンド(19万円)のオプションとなる7速のSトロニックを装備している。

トリム・レベルはSE、スポーツ、Sラインの3タイプが用意され、SE以外は15mm低くされたスポーツ・サスペンションがスタンダートとなる。しかし、このスポーツ・サスペンションはノーコスト・オプションとしてスタンダートなサスペンションに変更が可能だ。われわれのテストした車両もスタンダード・サスペンションが装着されていた。

■どんな感じ?

ベリーグッドだ。初対面の印象は非常に良い。クリーンなボディ・ラインと、シンプルだがエルゴノミクスに優れたインテリアが好印象をもたらす。更に、われわれのテスト車両は、ナビゲーション・システムと本革張りのインテリアを装備しており、より高級感溢れるものだった。もちろんこれらの装備がなくとも、A3はベーシックなアーキテクチャに高級感を漂わせる。

但し、シートはもう少しサポートが欲しい気がした。全体的に固い感じがなければ、もう少し快適に座ることができただろう。また、リアのパッセンジャー・スペースについては、今年後半に販売される5ドア・モデルを待って評価したい。

トランクスペースは365リッターと十二分で、その形状も使い勝手が良かった。

運動性能は明らかに良くなっている。特に低速域での良さが目に付く。高速でコーナーに侵入をすると、若干の不安定さを露呈するが、それでも概して寛大なコーナリング・フォースが保たれる。スポーツ・サスペンションでないのも良い影響を与えているようだ。

ボディ・コントロールは、アウディのスタンダードからすればいささかソフトではあるが、グラつきを感じるものではなく、むしろ良い乗り心地を提供してくれていると言える。

ハンドリングも良い。大多数の売上を示すSEとSラインはステアリングとギアボックス・セッティングが調整される”アウディ・セレクト”を標準装備している。ダイナミック・モードをセレクトすると、ステアリングは適度な重さとなり、Sトロニックをスポーツ・モードにするのと合わせれば、確かなグリップをもたらしてくれるのだ。それは、それほど大きな変化ではないものの、苦もなくミッド・レンジで速く走ることを可能としてくれる。

新しいA3は、概して前モデルよりもフットワークが軽く感じられる。それは軽くなったアルミボディのせいかもしれない。

但し、Sトロニックをオートにして、アウディ・セレクトをスタンダードにしてしまうと、さすがにダルで遅い感じがしてしまった。とはいうものの、A3 2.0TDIのエンジンは全体的にリファインされていると言えるだろう。

われわれは、購入価格が低く抑えられるというだけでなく、燃料効率の観点からも、オートマティックではなくマニュアルをおすすめする。マニュアルの燃費24.4km/l、CO2排出量106g/kmに対して、Sトロニックだと22.2km/l、119g/kmに下がってしまうからだ。

■「買い」か?

イエス。24,000ポンド(306万円)、マニュアルであれば22,730ポンド(290万円)という価格は決して安くはない。しかし、スポーツ・トリムは、この価格の中にエアコン、アルミスタイルのハイライト、スポーツ・シート、マルチファンクション・ホイール、そしてカラーのインフォテイメント・スクリーンが標準装備されるのだ。

この新しいA3は、旧いA3と眼を見張るほどの違いはないかもしれない。しかし、より快適に、より気持ちのよいドライブを行えるために細かい改良が随所にされている。A3は、MQBプラットフォームをこれから使用する各モデルの良い手本でもあり、間違いなくこのクラスで最も洗練された1台ということができよう。

(ヴィッキー・パロット)

アウディA3 2.0TDI スポーツ Sトロニック

価格 24,210ポンド(310万円)
最高速度 216km/h
0-100km/h加速 8.5秒
燃費 22.2km/l
Co2排出量 119g/km
乾燥重量 1280kg
エンジン 4気筒1968ccターボ・ディーゼル
最高出力 148bhp/3500rpm-4500rpm
最大トルク 32.6kg-m/1750rpm-3000rpm
ギアボックス 7速Sトロニック

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事