【なぜ?】MT車が最近増えた理由 電動車増加で「ダイレクトな感覚」恋しく
公開 : 2021.02.12 05:45 更新 : 2021.10.22 10:13
燃費規制や電動化が加速する一方で、MT車が増加しています。一時激減したMT車が最近増えた理由とは?
6速MT車が増えた
最近はクルマ関連のニュースで、燃費規制や電動化が取り上げられる。
2030年度燃費基準では、燃費基準推定値が25.4km/Lまで高められた。燃費基準の達成度合いは、2020年度燃費基準と同じくCAFE(企業別平均燃費方式)で判断するが、2030年度燃費基準をクリアするにはすべての新車をハイブリッドや電気自動車にすることが必要だ。
東京都などは「2030年度までに、新車として売られる車両のすべてを電動車(ハイブリッド/プラグインハイブリッド/電気自動車/燃料電池車)に切り替える」としているが、それ以前の話として、2030年度燃費基準に適合させるために電動化が進む。
このようにモーター駆動を併用する車種が増える一方で、古典的な5速あるいは6速のMT(マニュアルトランスミッション)を搭載する新型車も増えてきた。
6速MTに最も力を入れるのはマツダだ。
コンパクトカーのマツダ2(旧デミオ)、SUVのCX-5などにも6速MTが用意される。選べない車種は、LサイズSUVのCX-8、マイルドハイブリッドと電気自動車のみで構成されるMX-30だけだ。
トヨタも最近は6速MT車を充実させる。2016年に登場したC-HRを皮切りに、カローラ・セダン、カローラ・ツーリング、ヤリスなど、スポーツモデル以外にも6速MTを用意するようになった。
ホンダのシビックは、2LターボのタイプRに加えて、1.5Lターボのハッチバックでも6速MTを選べる。2020年11月に発売された軽自動車のNワンにも、6速MTを新たに設定した。
スズキではスイフトスポーツの6速MTに加えて、ベーシックなスイフトのRSなどにも5速MTがある。軽自動車ではアルトワークスにも5速MTを採用した。
メーカー戦略や生産台数確保は?
マツダはMT搭載車を戦略的に普及させている。運転の楽しいクルマづくりをブランド全体の特徴に位置づけ、その一環として6速MTを設定した。
シフトレバーの操作が老化の防止に役立つという趣旨の研究もおこなうほどだ。6速MTがマツダ車の価値を高める側面もあるため、大半の車種で選択できる。
それ以外のメーカーは、個々の車種ごとに判断している。
Nワンについては、開発者によると「以前からユーザーの希望として6速MTのニーズがあり、スポーツカーのS660と商用車のNバンが採用したため、Nワンにも搭載できるようになった」とのことだ。
軽自動車は機能や装備の割に価格が安く、6速MTも大量に生産できないと採用するのは難しい。先代Nワンを発売した時点では、6速MTを用意するのは無理だった。
しかし価格の高いS660が採用して(スポーツカーだから装着率も高い)、Nバンも同様の6速MTを設定したことにより、Nワンに搭載することも可能になった。