【相次ぐ減産発表】半導体不足でクルマがつくれない理由 今後どうなる?
公開 : 2021.02.08 05:45 更新 : 2021.02.09 22:00
半導体不足による自動車の減産発表が相次いでいます。クルマと半導体との関係と今後について考えます。
相次ぐ減産発表
「半導体不足で自動車減産」
こうした内容の発表が、2020年後半から2021年前半にかけて相次いでいる。
直近では、スバルが2021年2月5日、第3四半期の決算発表で、通期見通しの生産台数が82万3000台となり、そのうち約4万8000台分が半導体不足による減産だという。
また、マツダも2月4日にオンラインで実施した決算報告で、同社の丸本明社長が「2月から半導体不足による生産への影響が出る」という考えを示した。
1月にはホンダが、北米にある4つの製造拠点で減産をおこなうことを明らかにしている。その他、トヨタをはじめほとんどの自動車メーカーから「半導体不足」という言葉が聞かれるようになった。
2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で自動車産業に大きな影響が出ていることは、日本の消費者の間でも広く知られている。3月から5月にかけて、日本を含む世界各地の自動車生産拠点で、感染拡大を防止するため操業を一時停止。または、販売店の一時休業にともない、生産体制を調整した。
そのため、第1四半期から第2四半期にかけて、前年同期比で大幅減少となる自動車メーカーがほとんどとなったが、第3四半期では一気に回復基調を見せていたところだった。
それが、秋から冬に入ろうとする頃から、自動車業界では「半導体不足」に対する認識が強まった。
なぜか?
半導体と自動車の関係
2021年1月中旬で開催された次世代自動車に関する見本市「オートモーティブワールド」(東京ビッグサイト)で、筆者も登壇した基調講演で、先に講演した大手コンサルティング会社関係者は「半導体不足の生産に与える影響で、各社の第4四半期予測は当初想定より落ち込む。この影響は長引く可能性もある」と話した。
こうした現状を踏まえて、あらためて思うのは、半導体と自動車との関係だ。
この関係とは、大きく2つある。
1つは、技術面での関係。もう1つは、サプライチェーン(供給体系)での関係だ。
技術面について、一般社団法人電子情報技術産業協会のホームページには、「自動車は走る半導体」という紹介があり、その中で「自動車にはマイクロコンピュータが、普通のクルマで約30個、高級車では80個近く積まれている」との記載がある。
車載マイコンの種類については、エンジン制御、パワステ、パワーウインドウ、エアバッグ制御、カーナビ、キーレスエントリー、車線逸脱防止など高度運転支援システム(ADAS)に関する各種機能、車内用LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)など、クルマの基本性能である「走る・曲がる・止まる」から、車内エンタメまで、多岐に渡る。