【普段使いできるR.S.】ルノー・メガーヌR.S.300 EDCへ試乗 フェイスリフト 満たない興奮
公開 : 2021.02.18 08:25 更新 : 2021.03.05 21:34
シックリこない6速DCTと運転環境
残念なコンディションでも、R.S.300の横方向のグリップ力は充分に高い。それに気を良くし、早めにアクセルペダルを踏んでパワーをかけると、タイヤは充分に路面を掴み続けることができない。
1.8Lの4気筒エンジンは、相変わらずブースト圧でたくましさが大きく変化する。ターボが機能しトルクの山が生み出されると、滑りやすい状況ではフロントタイヤが簡単にスリップしてしまう。
そんな場面で大切になるのが、丁寧なアクセルペダルの操作。R.S.300のフロントタイヤから、強烈な加速力を引き出せる。
6速デュアルクラッチATは、メカ任せなら充分にマナーが良い。しかしパドルを弾いてマニュアル操作すると、反応が若干遅れることがあった。
筆者はルノーの6速MTが大好きだった、というわけではない。でも、やはりメガーヌR.S.のキャラクターには、300であってもMTの方がぴったりだと思う。
インテリアには、人間工学的な課題が残されている。例えば、シフトパドルの位置がイマイチで、ステアリングホイールを正しい位置で握っていると若干操作しにくい。
ステアリングの前後方向、テレスコピックは調整域が足りず、身長によっては相対的にペダルが手前に来すぎる。センターコンソールのボタンでドライブモードを選ぼうとすると、インフォテインメント・システムの表示内容がクリアになってしまう。
運転上の重大な欠点ではない。しかし、シックリこないことは間違いない。
R.S.トロフィーの興奮には届かない
もし筆者がホットハッチを選ぶなら、ルノー・メガーヌR.S.300は候補の一番上にランクインしないだろう。R.S.トロフィーより日常的には暮らしやすいが、理想的な道に踏み入れたとき、最高の興奮を味わうことは難しい。
R.S.300の賢明なバランスを、高く評価するドライバーもいると思う。実際、一歩引いていることでのメリットも間違いなくある。
しかし、現代のライバル・ホットハッチは水準が高い。メガーヌR.S.300並みに普段使いできつつ、さらにエキサイティングで充足感に勝るドライビング体験を与えてくれるモデルが存在することも認めなければならない。
例えば、最新のホンダ・シビック・タイプRがそうだ。あるいは、フォード・フォーカスSTしかり。
ルノー・メガーヌR.S.300 EDC(英国仕様)のスペック
価格:3万3555ポンド(469万円)
全長:4410mm
全幅:1875mm
全高:1465mm
最高速度:254km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:12.0km/L
CO2排出量:197g/km
車両重量:1443kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6000rpm
最大トルク:42.7kg-m/3200rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック