【コロナ禍と国際物流】翻弄された物流業界 「在宅」影響のキーワード 課題は?
公開 : 2021.02.16 05:45
期待される「研究者と企業とのコラボ」
最近は規制緩和でタクシーによる飲食物の宅配が特例として認められている。
ドローンやロボットの活用も推進されている背景にはいわゆる3密を避ける狙いがある。そのうえで、人件費を抑える効果もある。それは見方を変えれば、雇用者を減らすことになっている。
今回のコロナの影響で物流面は「勝ち組」、「負け組」がはっきりしてくるだろう。そういう混沌とした中で、関係機関の協働での活動が出てきたことは光明かもしれない。
関西の産官学で構成する国際物流戦略チームである。国や地方公共団体、学識者、地元経済団体、物流事業者が構成員となり、近畿圏の国際物流に関連する課題分析や、物流施策の展開に取り組んでいる。
もちろん新型コロナ対策でも活発に動き始めている。先日の幹事会では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による近畿における物流への影響について、1.阪神港に関する事項、2.トラック・鉄道・海事・倉庫業に関する事項、3.航空物流に関する事項が議論された。
同チームに期待されるのは、今までになかった、「研究者と企業とのコラボ」である。
これからの企業に求められるのは、分析や研究という分野に踏み込めるか、というところである。単一の企業では困難でも産官学での取り組みを各企業へその成果を落とし込むことは可能になるのではないか。
ただ、抜本的な物流における課題がある。
抜本的な物流における課題
抜本的な物流における課題。企業規模での危機管理における意識や取り組みの差異が、日本ではとくに大きいことである。
事業規模で、各組織内での取り組み方が違い過ぎることだ。末端の下請けや孫請けのようなところに、新型コロナ対策の物流におけるあり方を理解してもらい実践させるにはかなりの無理がある。
業界全体が、この体制作りを改革していくこと、意識の醸成とともにステークホルダーをも含めた教育への動きを加速させるべきだ。
単に倉庫は、保管、物を運べばよいという単純な次元にある事業者も現実には少なくない。これは、物流業界が全体的に、経営環境悪化していることに大きく影響している。
今回のコロナ禍を生き延びるだけでなく、継続的に経営を安定させて、市民生活に安定した物流からの寄与を確保する社会的責任を果たすため、業界全体が一丸となって取り組む必要がある。