【リーフとの共通項は?】日産eパワー多モデル化へ 排気量拡大も視野?
公開 : 2021.02.17 05:45
リーフとの共通項
まず聞いたのは、リーフとの部品共通性だ。
これまでもたびたび日産の電動パワートレイン開発関係者が報道陣向けにeパワーの中身について説明してきた。
一方で、販売の現場やユーザーの中には「eパワーのハードウエアはリーフと同じ」と認識している人がまだまだいるように思う。
たしかに、日産はeパワーについて「EV市場をけん引するリーフの技術を使った……」という類の普及活動をしている。ただし、リーフと部品がまったく同じとはいっていない。
実際はどうなのか?
まず、モーターだが、日産の内製品であり「製造ラインはリーフ向けとeパワー向けは同じ」(eパワー開発担当者)という。磁気を伴う部品などで共通性はあるものの、モーターの外観は大きく違う別物だ。
また、電池はまったく違う。一般的にEVとハイブリッド車では必要とされる電池の特性が違う。リーフの電池は、もともと日産が出資するAESC(オートモーティブ・エナジー・サプライ:現在は中国のエンビジョン資本下)で生産されており、筆者はその製造工程を現地で詳しく取材しているが、eパワー向けはそこで生産されていない。
そのうえで、eパワー向け電池の、セル形状やセルの製造メーカーなどについて、日産は現時点でも公表していない。
排気量拡大型eパワーは?
インバーターも内製であり、ハードウエアの一部はサプライヤーから供給されても、制御のキモとなるソフトウエアではミドルウエア以上のアプリケーションの領域で、リーフを含め、これまで日産が電動車開発で培ったノウハウが詰まっている。
もう1つ、筆者からの質問は、eパワーのルノー/日産/三菱アライアンス、およびアライアンス以外に向けた、eパワーシステムそのものや開発ノウハウの外販の可能性についてだ。
この点について、本稿冒頭に紹介したように、ユニットバリエーション拡大を目指しているという。タイではキックスeパワーをすでに販売しているが、欧米含めたグローバル展開を視野に入れているというのだ。
たとえば、欧州では独アウトバーンなど巡航速度が160-200km/hに達するため、既存のHR12(1.2L)では高速燃費が悪くなるため、より大きな排気量エンジンのeパワー化を考慮している。
日産の中期経営経営計画「ニッサン・ネクスト」では、2023年度末までにグローバルでEVを2車種、eパワー4車種を投入としているが、このなかに排気量拡大型eパワーが含まれているかどうかは不明だ。
アライアンスの中では、リーダーとフォロワーという理念として、ルノーや三菱でのeパワー化も十分あり得るが、アライアンス以外への外販の可能性については言及しなかった。