【世界初公開】マクラーレン・アルトゥーラ PHEVの新型スーパーカー “超軽量”の哲学、いかに実現するか?
公開 : 2021.02.17 09:15 更新 : 2021.07.27 14:51
アルトゥーラ 内装
車内に目を向けると、コクピットはこれまで以上にドライバー中心の空間となった。
ドライブモードのセレクター(従来どおりパワートレイン/ハンドリングは個別に調整可能)は、メーターナセル上部に移設され、ステアリングから手を離さずにモードを変更できるようになっている。
そのメーターナセル自体は、ステアリングコラムにマウント。ステアリング・ホイールとともに調節でき、運転時の人間工学がいっそう強化される形となった。
ドライバーを直接支えるシートにもトピックがある。軽量で、ホールド性に優れる新たなクラブスポーツ・シートが本モデルでデビュー。
太もも裏のサポート、シートの高さ、背もたれを調節する時には、シート全体が一体となって楕円の弧を描いてピボットする。またオプションでコンフォート・シートも用意されている。
また、カーボン製モノコックシェル、ダッシュボード、ドアが、いずれもスリムなため、97.5パーセント点にあたる身長193cm(6フィート4インチ)のドライバーでも、膝周辺の空間やレッグルームに余裕があるという。
ショルダールームも広く、背もたれを大きく倒して身体を伸ばせるようになったのは、大きな進歩だ。
マクラーレン自ら「ドライバーとパッセンジャーへの快適性こそ、アルトゥーラ開発のモットー」と主張するだけあり、NVH性能(ノイズ・振動・ハーシュネス)は、電動モードではほぼ無音の走行となるレベルを追求。
これに加えて、ピレリのノイズキャンセリングシステム(PNCS:ロードノイズを低減する特許取得技術)は、タイヤ内部のポリウレタンスポンジが振動を吸収し、キャビンへ伝わるノイズを最低限に抑えている。
アルトゥーラ シャシー「MCLA」登場
MCLA(マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャ)をコアに採用した最初のモデルとなるアルトゥーラ。
高性能ハイブリッド用に最適化され、専用のバッテリーコンパートメントを備えるほか、画期的なドメイン型のイーサネット・エレクトリカル・アーキテクチャと、電動の暖房・換気・空調(eHVAC)システムを採用。
これにより配線が最大で25%削減され、データの伝送速度が向上。後述の先進運転支援システム(ADAS)との親和性が高まった。
パワートレインのモードとは別系統で用意されるハンドリング用モードでは、ドライバーの好み、天候、路面状況に合わせて、ダンパーの硬さとエレクトロニック・スタビリティ・コントロールの介入の程度を調節できる。
こうした目標達成の鍵となったのが、マクラーレンが初めて採用した電子制御ディファレンシャル(Eデフ)で、リア・アクスルの左右に分配されるトルクを個別に制御。
Eデフは機械式デフロックより軽量・小型(トランスミッション内部に格納)で制御しやすく、ロックの作動と解除を左右のリアタイヤで個別に行って、コーナー脱出時のトラクションを向上させる。
ダイナミクスの正確性を支えるもう1つのテクノロジーが、ピレリの「Cyber Tyre」技術。各タイヤ内部の電子チップがリアルタイムでデータを生成、これを車両の安定制御システムに伝達するとともに、タイヤの空気圧を監視してパフォーマンスを最適化する。