【なぜ日本は後回し?】トヨタ、欧米でEV量産計画発表 相次ぐワケ
公開 : 2021.02.23 20:45
単なる車体構造ではなく?
欧州トヨタが2020年12月に公表したe-TNGA。
TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)は、現行のカムリ、クラウン、RAV4、ハリアーなどに採用されているガソリン車やハイブリッド車、およびプラグインハイブリッド車向けの車体構造である。
これに「e-」がついたe-TNGAは、C-HR EVやUX 300eのような、単なるTNGAのEV化ではなく、EVのみに対応するトヨタとしてまったく新しい発想の車体と電動パワーユニットの仕組みである。
クルマの床下部分に大型電池パックを配置し、前輪と後輪のぞれぞれ、または前後輪の駆動用モーターを備える外観は、テスラや、GMがホンダにも提供するアルティウム、さらに日産がアリアで導入しようとしているシステムに似ている。
EVでは車体構造で他社との差別化をすることは、現状で難しいことがよくわかる。
このe-TNGAの北米向け第1弾が、もしかすると2021年中に登場する新BEVの1台なのかもしれない。
ただし、その場合に大きな課題となるのが、クルマの一生でのLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を考慮した、トータルでのサービス事業の確立だ。こうしたサービス事業を、欧州に次いでアメリカでも早期に導入するのだろうか?
また、日本はどうなっていくのか?
e-TNGA導入いつ?
現在、日本でのトヨタのBEVは超小型モビリティのシーポッドの1モデルのみ。
登録車では、中国先行導入のレクサスUX 300eを日本で限定発売しただけだ。
そのうえで、直近の決算報告や未来型実験都市ウーブンシティなど、報道陣向けの情報公開の場で、トヨタがBEVの日本市場導入について具体的な話をすることはない。
なぜならば、前述のアクションプラン・トヨタ環境チャレンジ2050でも明らかなように、BEVを含めた電動化は、国や地域の社会インフラや規制の動向を精査したうえで、開発・製造・販売を判断しているからで、日本市場については現状、BEVの正式導入のタイミングではないとトヨタはみている。
こうした、グローバル視点でのBEV導入方針は、ほかのメーカーでも基本的には同じことだが、トヨタの強みはモデルラインナップが豊富で、販売国別に多様な組み合わせを実現できるところにある。
結果的にハイブリッド大国の日本においては、トヨタは日本独自の電動化戦略を敷く。
トヨタの日本市場での登録車シェアは約半分を占めるため、トヨタの電動化戦略が日本市場全体に大きな影響を及ぼすことになる。
見方を変えると、トヨタが日本でe-TNGAの本格導入を決めたとき、日本でのBEV本格化時代が到来するといえるのではないだろうか。