ボルボV60 D6プラグイン・ハイブリッド
公開 : 2012.05.18 15:47 更新 : 2017.05.29 19:09
■どんなクルマ?
ボルボV60 D6プラグイン・ハイブリッドは、初めて販売されるティーゼル・エンジンとモーターのプラグイン・ハイブリッド・モデルだ。それはボルボ・チームの血の滲むような4年間にわたる成果である。
ディーゼル・エンジンの高い経済性と、電気モーターのゼロ・エミッションを組み合わせ、しかもヨーロッパの求める低いCO2排出量を達成しているのだ。搭載されるディーゼル・エンジンは212bhpの2.4リッター5気筒で、リア・アクスルには69bhpの電気モーターを備える。11.2kWのリチウム・イオン電池が搭載され、モーターだけで51.5kmの走行が可能だ。その結果、5,000ポンド(63万円)のゼロ・エミッション補助金が政府から受けられる。
非公式ながら燃費は52.7km/l、CO2排出量は49g/kmを記録する。にもかかわらず、65.1kg-mのトルクは、0-100km/h加速は6.2秒という俊足ぶりを発揮する。
■どんな感じ?
V60 D6は静かなシティカーであり、長距離を走るのに適したワゴンである。しかし、ハイ・パフォーマンス・ワゴンというキャラクターではない。というのも、ボルボのマーケティング部門がどう考えるかは別としても、AWDのこのV60 D4は、スタンダートなV60に対して300kgも重いからだ。冷静に考えても、かなり重い荷物を抱え込んでいることになる。その増えた重量に対応するために、サスペンションのセッティングも見直されているが、それはスポーティというよりも乗り心地重視のものである。
ドライブ・モードは、ピュア、ハイブリッド、パワーの3つのモードを選択することが可能だ。普通にキーを回してエンジンを掛けると、デフォルトのハイブリッドのセッティングが選ばれ、ディーゼル・エンジンと電気モーターとが巧みな連携を見せることとなる。V60 D6は、すでにオーダーをすることは可能なモデルにもかかわらず、実はまだ開発中というところもあって、パワー・ソースの切り替えに若干の問題があった。スロットルのレスポンスに、2つのパワー・ソースを上手く反応させてやるできていないのだ。それ以外においては、非常に印象深いモデルであった。
6アンペアの家庭用プラグで7.5時間、16アンプで3.5時間でフル充電が可能だ。V60 D6は通常はこの20.3kg-mの電気モーターだけで動く。パワーが必要な時だけディーゼル・エンジンに火が入るという仕組みだ。これは、小さくなったタンクに収められた高価な化石燃料を使うことをセーブするという利点と、5気筒エンジンの唸りを聞くことが少なくて済むという利点がある。上手くドライブすれば、電気モーターだけで走ることも可能で、また、モーターだけでも100km/hのスピードを出すことができる。
もし、都市と都市の間を旅行するような時は、ダッシュボードの上の「セーブ」ボタンを押せば、バッテリーの充電をすることが可能だ。そこで充電した電池は後で都市部に入った時に使えば良い。
ハイブリッド・モードは街中で実に有用だ。一方、モーターだけでドライブするピュア・モードではスロットル・レスポンスまでリマップしてしまうので、ラッシュアワーの中であっても静かだが穏やかな運転を経験することとなる。
■「買い」か?
その他の部分は全く問題ないが、V60 D6の問題はそのバッテリーにある。ブート・フロアに搭載されるバッテリーのため、荷室スペースはフォード・フィエスタよりも10リッター大きいだけの305リッターでしかない。
また、価格がひどく高価なのも欠点だ。この手の新しい技術はプレミアムコストがついている。ランニングコストを重要視するのであれば、長い目でみれば価値があるクルマかもしれない。
もし、あなたの仕事場が自宅から25km以内にあるのであれば、まるまる1週間、エンジンをかけないということもあるだろう。もちろん、これはヴォクゾール・アンペラにも同じことがいえる。しかし、アンペラはV60 D6ほど快適ではないし、速くないし、ルックスも良くないのだ。
(ニック・カケット)
ボルボV60 D6プラグイン・ハイブリッド
価格 | 47,000ポンド(588万円) |
最高速度 | 233km/h |
0-100km/h加速 | 6.2秒 |
燃費 | 52.7km/l |
Co2排出量 | 49g/km |
乾燥重量 | 1975kg |
エンジン | 5気筒2400ccターボ・ディーゼル+モーター |
最高出力 | 212bhp/4000rpm+69bhp |
最大トルク | 44.8kg-m/1500rpm-3250rpm+20.2kg-m |
ギアボックス | 6速オートマティック |