【詳細データテスト】レンジローバー・イヴォーク 重さを感じない乗り味 常用域では上品でパワフル
公開 : 2021.02.20 20:25
内装 ★★★★★★★★★☆
身長が190cmに迫るとしても、後席で快適に過ごせるはずだ。シートがややフラットでフロアは高めなので、太ももは安定せず、大人は後席のサポートに不足を感じるところもあり、エクステリアのデザインゆえに視界も前席ほどよくない。
それでも、レッグルームとヘッドルームは、たいていの乗員がまずまずあると思えそうなもので、チャイルドシートが装着されていても乗降しやすい。
ドライビングポジションは、新型でも一般的なコンパクトSUVより高めで、レンジローバーの典型というべき、視点の高いコマンドポジションをかなり感じさせるものだ。
それでも、巧みに包まれ感とスポーティなフィーリングをもたらしているのが、脚を伸ばして座る姿勢と高いベルトラインだ。それは、まさしくレンジローバーが備えているべき特別感や独自性を感じさせる。
キャビンの雰囲気は、無駄を省いてハイテクさとラグジュアリーさを漂わせる。それが、新型イヴォークを、先代よりはるかに洗練されている印象を生み、5万ポンド(約700万円)を超える価格も驚くほど容易に納得できる。
テスト車はHSEグレードで、ダッシュボードやドアトリムにはレザーが張られ、目を引かれずにはいられない。ただし、標準装備のウィンザーレザーシートは、デンマークの生地メーカーであるクヴァドラ製のファブリックに置き換えられていた。これはリサイクルウールとスウェード調クロスを組み合わせ、手触りも見栄えも魅力的だ。
スターターボタンをフリックすると、それまで暗転していたスイッチ類の表示が光りを放つ。ステアリングホイールのスポークスイッチからエアコンパネル、センタークラスターを形成する2段重ねのタッチパネル、そしてデジタルメーターパネルまで、すべてが突如として目覚めるのだ。
その様子は、10年かそこら前のランドローバーならば持ち合わせていなかったようなテクノロジーの満載ぶりを、まるで誇示するかのようだ。ゲイドンの豪華装備の信頼性や、それらをコントロールするソフトウェアの堅牢さをよく知るオーナーたちは、これほどエレクトロニクスを多用するのが賢明なのか疑問に思うだろう。
しかし、2021年現在のラグジュアリーカー購買層は、こうしたハイテクを求めている。イヴォークはその声に応えるギミックを数多く揃え、しかもデザイン性も十分だ。