【詳細データテスト】レンジローバー・イヴォーク 重さを感じない乗り味 常用域では上品でパワフル
公開 : 2021.02.20 20:25
走り ★★★★★★★★☆☆
PHEVはその性質上、重量がかさむものだ。そして、ランドローバーが常に重いSUVを造ってきたことを考えると、電動化したコンパクトSUVも重たいものになるだろうと思われた。
実際、軽くはない。それでも、駆動用バッテリーのサイズやなかなかのEV走行距離を考慮すれば、少なくともイヴォークP300eのウェイトは妥当だといっていいだろう。また、2.2t近いといっても、走りはおおむねその重さを感じさせない。
ダイレクトドライブのリアモーターは、135km/hを超えると駆動力を使い切ってしまい、そこからは3気筒エンジンのみで走ることになる。それ以下の速度では、すばらしいまでに力強く、気味が悪いくらいスムースな出力特性とみごとなペダルレスポンスに感銘させられる。
48−80km/h加速が2.4秒という性能は、ホットハッチでも中級レベルの性能だ。新型8速ATの変速は、ほとんど気づかないほどなめらか。3気筒ユニットの回転や振動は、ハードに回すとジェントルとまではいえなくなるものの、それほど負荷がかからなければかなり上品な部類に入る。
135km/h以上に加速すると、とくに高いギアでは、その印象がガラリと変わる。力なく遅く感じられ、固定ギアでの加速データはその感覚をはっきりと裏付けている。5速では、97−129km/hが6.3秒と、現行のフォルクスワーゲン・ポロGTIに肩を並べる。
ところが、129-161km/hになると、17.4秒もかかる。これは、ゴルフVIIIの中級機種である1.5eTSIのほぼ倍だ。敢えていうなら、この135km/hを境に、それを超えるとそこまでは洗練されていたこのパワートレインへの好意的な思いは、少しばかり失われる。
走行モードの設定はじつにシンプルで、EV/ハイブリッド/セーブという名称もわかりやすい。やや困ったのは、セーブモードでもエンジン走行時にバッテリーの再充電ができないことだ。それがあれば、長距離ドライブの目的地が低エミッション区域だった場合にありがたいのだが。
ただし、もしもそういったルートをナビゲーションシステムに入力した場合には、エネルギー源のマネージメントを自動的に行い、必要なEV走行距離をクリアできるだけの電力を残しておく設定となっている。
ブレーキはバイワイアシステムだが、どうやらイヴォークでは初採用らしい。これによって摩擦ブレーキと回生ブレーキの制御を極めて巧妙に行うことが可能になり、どのようにペダルを踏み込んでも一貫したレスポンスが得られる。
その機能ぶりは上々だ。ペダルを踏み込んでいっても、無反応だったりリニアでなかったりするところはみられず、低速でのドライバビリティにも優れている。