【詳細データテスト】レンジローバー・イヴォーク 重さを感じない乗り味 常用域では上品でパワフル
公開 : 2021.02.20 20:25
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
アダプティブダンパーを装備せず、20インチタイヤを履き、しかも多くのPHEVが運動性との整合性を取りあぐねている重量増加を被っていても、P300eのハンドリングと乗り心地は、上品で洗練された、じつに快適な、ダウンサイジングされた高級車らしいものとなっている。
ランドローバーがこのクルマのトピックに挙げる取り回し性や市街地での機動性もまた、高く評価できる部分だ。レンジローバーを名乗りながら、B級道路のT字路を切り返しなしに通り抜けられる。路上の安全地帯の周囲でも気兼ねなく駆け抜けられるし、その気になれば車間を縫って走るのも楽だ。
郊外では、活発な走りと正確なハンドリングをみせる。その点では、ほとんどのコンパクトSUVの半歩先を行くといったところだ。
ステアリングは信頼感があり、手応えはバラつきがない。センターから切っていくにつれて切れ味がほどよく増していく。ハンドリングにはタイトなコーナーでもうれしいくらい食いついてくれる感覚があるが、決して不意打ちを喰らわされるようなものではない。
横荷重が増してもロールは小さいが、タイトなS字ではウェイトの大きさを感じさせる。かなりしなやかにセッティングされているので、荷重がかかった側へ落ち着くまでにはいくつかのライバルより時間を要するが、冷え切った滑りやすい舗装路でも適切な横グリップを発揮する。これには、ピレリ・スコーピオン・ゼロの貢献も大きい。
シャシーバランスは、低速コーナーからの脱出で加速するとかなり遊べる感覚。リアモーターが瞬時に27.7kg-mのトルクを発揮して後輪を駆動するので、電子制御のドライバーズエイドを発動させないようスムースに操れば、きわめてかすかですぐに消えてしまうものながら、後輪駆動的なバランスを示してくれる。