【お値打ちのスポーツサルーン】ヴォグゾール(オペル)・インシグニア GSiへ英国試乗
公開 : 2021.02.26 08:25
英国のオペル、ヴォグゾールのフラッグシップ・サルーンとなるインシグニア。マイナーチェンジを受け、価格価値をさらに高めていると英国編集部は評価します。
英国で高い支持を集めるインシグニア
ハンドリングに優れたビッグサルーンがお好みなら、ヴォグゾール(オペル)・インシグニアの存在も忘れないでほしい。SUV人気の高まりの中で、4ドアサルーンは珍しくなりつつある。英国市場をリードするモデルも、今後いつまで生き残れるかはわからない。
オペルの英国ブランド、ヴォグゾールのDセグメント・サルーンは、英国で悪くない支持を集めてきた。ここ10年の間に、30万台以上のインシグニアが販売されている。SUVへのシフトが明確になった2019年ですら、8000台以上を路上へ送り出している。
一方でオペルとヴォグゾールは、2020年代後半からインシグニアがベースとするプラットフォームは存続させないことを明らかにしている。すべてのモデルが電動化されるためだ。
今回のマイナーチェンジでは、インシグニア全体のパワートレインに改良が加えられ、効率性も高めている。この4ドアサルーンとして、最後のアップデートになるかもしれない。
今回試乗したインシグニアは、トップグレードとなるGSi。新しい4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載し、最高出力230psが与えられた高性能仕様となる。トランスミッションも新しい9速ATで、知的な四輪駆動システムも装備する。
リフレッシュされたインシグニアとしては、一番走りに焦点が向けられた内容といえる。鮮明なハンドリングは、SUVに真似することができないだろう。
知的な四輪駆動と充実した装備
広々とした車内でありながら、0-100km/h加速は7.0秒、最高速度は236km/hを得ている。3万8690ポンド(557万円)という英国価格も強い訴求力がある。
このクラスのサルーンを見渡すと、インシグニアの知的な四輪駆動に匹敵するシステムを備えたモデルは見当たらない。穏やかな運転状況では前輪駆動として機能し、燃費にも貢献してくれる。
センターコンソールのボタンで設定を切り替えれば、トルクベクタリング機能が働き俊敏性が明確に高まる。同時に、操縦性のバランスも大幅に引き上げられる。これも、この価格帯では珍しい。
一般的な機械式だったリアのデファレンシャルは、ツインクラッチを採用したツインスターと呼ばれるものへスイッチ。センサーの情報をもとに、左右のリアタイヤへ有効にトルクを分配してくれる。
ほかにも、燃費向上につながる気筒休止システムや、LEDマトリックス・ヘッドライト、ブレンボ社製のブレーキ、ニュルブルクリンクでチューニングされたアダプティブ・ダンパーなどを採用。装備の充実ぶりにも驚かされる。
ドライブモードには、スタンダードとツアー、スポーツ、コンペティションの4種類を設定。保守的なデザインながら、作り込みのいいインテリアも備わる。リアシートの広さに妥協のないパッケージングも与えられている。
オプションの必要性を感じさせない内容で、英国での価格は4万ポンド(576万円)以下。充分にバーゲンプライスに思えるが、中古車として市場に出れば、さらに吸引力は増すはずだ。