【直6エンジン・サルーン比較】ボルボ164とデイムラー・ソブリン2.8 1968年の同級生 後編

公開 : 2021.03.07 17:45

メルセデス・ベンツCクラスより快適

優しいクリーム色のソブリン2.8は、英国で偶然発見した1台。驚くことに、父のデイムラーと色や年式、スペックもまったく同じクルマで、ワンオーナーだったという。

1978年にレストアも受けている。「わたしは実際に乗りながら、修復を加え続けて来ました。2019年には全塗装と、インテリアを仕立て直しています。サイドシルやフロアは、オリジナルの鉄板のままです」

白のデイムラー・ソブリン2.8とクリーム色のボルボ164
白のデイムラー・ソブリン2.8とクリーム色のボルボ164

「走行距離は7万4000kmほど。わたしが手に入れたときは6万9000kmくらいでした。ステアリングは驚くほど軽いんですよ」。滑らかな走りが好きだというニューナム。

「電動の燃料ポンプや点火系統など、小さなアップグレードは施してあります。今では信頼性も高い。家族が乗っているメルセデス・ベンツCクラスより、はるかに快適だと思いますよ」

2.8L直列6気筒エンジンは、海外で人気が出るだろうとジャガーは予想していた。小さな排気量の方が、税制的にメリットを受けられる国で。しかしブランド内での競争や、エンジンの不具合は悩みのタネでもあった。

それでもニューナムは、素晴らしいエンジンだと信じている。「3.4Lや4.2Lほどパワフルではありません。でも、速さを競うクルマではないですからね。ボルグワーナー社製のATは、クルマにぴったり。MTのデイムラーとはだいぶ雰囲気も違います」

最近、デイムラー・ソブリンとボルボ164は注目度が高くなってきている。当時の優れたモデルとして。「ソブリンはここ5年ほどの間に、沢山の視線を集めるクルマになったようです」。ニューナムも実感している。

同時期に生まれた印象的なサルーン

「わたしがソブリンを買ったのは2007年。その頃は立ち止まってクルマを眺める人など、ほとんどいませんでした。今ではとても美しいと、多くの人が言葉にしてくれます」

ユーレットも同調する。「164で学校の送り迎えをしていますが、とても目立ちます。わたしが手放すことはないでしょう。唯一、乗って楽しむ手段として息子に受け継がせたいとは考えています」

白のデイムラー・ソブリン2.8とクリーム色のボルボ164
白のデイムラー・ソブリン2.8とクリーム色のボルボ164

ジャガーXJファミリーの中で、ソブリンの重要な位置づけを理解する人は多くなかった。1969年の英国では、隣近所から注目を受けることもなかった。

かたや、ボルボは164を記憶に残るキャッチコピーで送り出した。「文明化の足りない世界へ、文明化されたクルマを」。カラーテレビのあるリビングを理想とした当時のビジネスマンには、理想的なクルマに写ったのだろう。

異なる背景ながら、同時期に誕生した印象的なルックスを持つ2台のサルーン。お互いを静かに尊重し高め合うように、今日まで共存してきたのかもしれない。

ボルボ164とデイムラー・ソブリン 2台のスペック

ボルボ164(1968-1975年)のスペック

価格:2048ポンド(新車時)/2万ポンド以下(288万円以下/現在)
生産台数:14万6008台
全長:4724mm
全幅:1733mm
全高:1454mm
最高速度:173km/h
0-97km/h加速:11.3秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1483kg
パワートレイン:直列6気筒2978cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:131ps/5000rpm
最大トルク:20.9kg-m/2500rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック

デイムラー・ソブリン2.8(1968-1973年)のスペック

価格:2356ポンド(新車時)/2万8000ポンド以下(403万円以下/現在)
生産台数:3221台
全長:4816mm
全幅:1772mm
全高:1343mm
最高速度:189km/h
0-97km/h加速:11.0秒
燃費:6.0km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1537kg
パワートレイン:直列6気筒2792cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:182ps/6000rpm
最大トルク:25.1kg-m/3750rpm
ギアボックス:3速オートマティック

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