【イエローバードの再来以上】ルーフCTR アニバーサリーへ試乗 1200kgに710ps 前編
公開 : 2021.02.22 08:25
3.6Lツインターボは710psと89.5kg-m
ブレーキは、4輪ともにブレンボ社製のカーボンセラミック・ディスク。911 GT2 RSのものと似ているが、ルーフ用に開発されたものだという。
鍛造製でセンターロック式の19インチ・ホイールが、大きいホイールアーチをきれいに埋める。コンパクトなボディが故に、5スポークがだいぶ大きく見える。特に気をもむことなく、英国の狭い駐車場にも停めることができるだろう。
乗りやすそうなボディサイズではある。だが、3.6Lツインターボエンジンの最高出力は710psもある。
グラスエリアの形状は993型911とまったく同じ。シャシーはかつての911カレラ3.2ではなく、ル・マン・プロトタイプの方に近い。創業者のアロイス・ルーフの願望に基づいた、混じり気のないスーパーカーといっていい。
パワートレインは、グループC時代のレーシングマシンを彷彿とさせる。最大トルクは89.5kg-mもある。ルーフ社が開発したエンジン内部のチタン製部品と新しいヘッド、電子制御システムが支えている。
トランスミッションは、強化されたトルクコンバーター式のATや、デュアルクラッチATではない。7速マニュアルが組み合わされる。一筋縄ではいかなそうだ。
ルーフ社の確かなネットワークにより、ドイツ機械工業の重鎮、ZF社が特注のマニュアル・トランスミッションを用意してくれた。これに、CTRではデュアルマス・フライホイールが組まれる。
CTRの自然吸気版、カミソリのようにシャープなSCRには、軽量なシングルマスが採用される。デフはもちろんリミテッドスリップ。不可欠だろう。
低速域ではマナーに優れ順応しやすい
鮮やかなイエローのルーフCTR アニバーサリーのシートに座る。とても新鮮でありながら、どこか懐かしい、不思議な感覚に襲われる。
現代的なポルシェ製のステアリングホイールと、足元に露出したカーボンファイバー製パネルがなければ、古い空冷の911に乗っているように思えてしまう。このような細かい部分も、ルーフ社がカスタマイズを受けてくれる。
車内はタイトだが、スポーツカーとして居心地が良い。グラスエリアが広く、全周に渡って視界良好。宇宙飛行士のヘルメットのようだ。
狭く閉じ込められた感覚のある、現代のスーパーカーとは異る。ルーフが手掛けたツインターボ・フラット6の実力を解き放つのにも、適した環境といえる。
走り始めは、穏やか。CTRへすぐに順応できる。クラッチペダルはほど良く重く、難しさもない。
ブースト圧のかからない状態では、エンジンはマイルド。アイドリングは少し安定せず、低回転域での勇ましいサウンドが示す以上に、マナーが良い。
ステアリングは油圧アシスト付き。低速域での重さも丁度いいが、速度が増すと指先での繊細な操舵を可能としてくれる。切り初め、ほんの数度傾けた時の反応もすこぶる良いようだ。
ルーフCTRは素晴らしく軽快に走る。滑らかに道を進む。洗練されたサスペンションは入力が加わると、現代のマクラーレンのように見事な精度で処理してくれる。
この続きは後編にて。