【クラウンやLSよりも……】トヨタ・ミライのコスパ バーゲンプライスといえるワケ
公開 : 2021.02.25 05:45 更新 : 2021.10.13 12:04
新型ミライの車格はクラウンよりも上、装備水準はレクサスLSに匹敵します。まさにバーゲンプライスといえるでしょう。
全面刷新で2世代目となったミライ
トヨタ・ミライがフルモデルチェンジ。2世代目へ進化した。
トヨタ・ミライは水素をエネルギー源として走るクルマ。ただし、水素をそのままエンジンで燃やすのではなく、化学反応で電気を取り出し、その電気でモーターをまわして動力とする。だから加速フィーリングは電気自動車そのものだ。
世界をみても、量産され一般の人でも購入(リース販売も含む)できる燃料電池車は世界で4車種しか存在しない。ミライのほかホンダ・クラリティ・ヒューエル・セル、メルセデス・ベンツGLC Fセル、そしてヒュンダイ・ネクソである。
なかでもミライは2014年に世界ではじめて「誰でも購入できる量産燃料電池車」として発売された、市販燃料電池車のパイオニアといっていいだろう。
そんなミライのフルモデルチェンジは、まさに全面刷新だ。新型において初代と共通するのは、燃料電池車であることのほかには「セダンである」ということくらい。
プラットフォームや燃料電池ユニットが新しくなったほか、ボディサイズは全長が従来比でプラス85mmの4975mm、全幅もプラス70mmの1885mmと一回り拡大。
駆動方式も前輪駆動から後輪駆動となり、車格的にはクラスが1つあがった。
基本構造はレクサスLSに近い?
驚いたのは、価格だ。
ボトムグレードの「G」は710万円。最上級仕様の「Zエグゼクティブ・パッケージ」で805万円という価格は、驚異的なバーゲンプライスである。
参考までに、日本での販売価格はクラリティ・ヒューエル・セルが783万6400円。GLC Fセルが1050万円だ(ネクソは日本向けの正規販売なし)。
単純にスターティング・プライスだけをみてもミライは「安い」といえるのだが、もちろん理由はそれだけではない。
まず、新型ミライは基本骨格が贅沢だ。
「GA-L」と呼ばれるトヨタの後輪駆動車用プラットフォームを使うが、同プラットフォームには「ナロー版」と「ワイド版」がある。前者はクラウン、後者はレクサスLSやLCに使われているのだが、ミライは後者のワイド版を選んでいるのだ。
理由は大きな水素タンクを搭載するため(もしナロー版を使うと水素搭載量が現状の3分の2ほどになる)という機械的なアプローチではあるのだが、つまるところ基本構造はレクサスLSに近い。
ワイド版のほうがコストがかかっていて、開発責任者によると「より潜在能力が高い」という。サスペンションもLS向けをベースとした構成だ。つまり新型ミライは車体が贅沢な作りなのである。
もちろん、肝となる燃料電池ユニットも進化。第2世代のシステムは、水素から電気を取り出すユニットで先代比19ps、駆動用モーターは28psの出力アップを施した。
そのうえで、効率改善(約10%の燃費向上)とタンク貯蔵能力の向上により従来は約650kmだった航続距離が最大850kmまで伸び、東京~大阪間を余裕をもって走れるようになるなど進化が著しい。アクセルの操作に対するレスポンスがアップするなど、ドライバビリティも高まっている。
さらに装備水準も引き上げられた。
たとえば先代ではACCの停止保持機能もなかった先進運転支援システムは、新型では停止保持はもちろん、雨の日など白線が認識しづらい状況でもディープラーニングで車線維持を支援する機能やドライバーに異常が生じた時は自動停車したうえで救命要請まで支援する機構まで標準採用。
トヨタ最高水準のシステムが搭載されているのだ(さらに2021年内にはトヨタ・ブランド初のハンズオフ機能も追加設定される予定)。
タイヤ&ホイールは19インチもしくは20インチと高価なもの(先代は17インチ)だし、先代はでオプション設定だったナビも、新型では全車に12.3インチのタッチディスプレイ(スマホアプリのナビを利用できる)を標準搭載。加えて上位グレードは車載ナビも採用している。
つまり車体の基本構造から燃料電池ユニット、そして安全機能まで含めた装備類まで、新型は従来モデルよりもすべてがクラスアップしているのだ。