アルファ・ロメオ4C
公開 : 2014.01.17 15:30 更新 : 2017.05.29 18:24
■どんなクルマ?
英国でアルファ・ロメオ4Cを初めてドライブする機会に恵まれた。既にわれわれは海外で4Cのステアリングを握っているが、その時のッ評価は実に好ましいものだった。現在、ミトとジュリエッタという主力2モデルしかないアルファ・ロメオだが、そのブランドに新たな息吹を与えるに十分すぎる存在と思われたのだ。フェラーリでさえ、現在のラインナップはアルファ・ロメオよりも多いのだ。しかし、アルファにルネッサンスが興るとすれば、間違いなくその原動力はこの4Cに違いない。
残念なことに、英国における4Cの2014年の割り当て分はすべて売り切れてしまっている。今回、われわれがテストしたラウンチ・エディションも含めてだ。このラウンチ・エディションはホワイトのボディ・カラーと幾つかのオプションによって£54,000(920万円)という価格が付けられたモデルだ。しかし、メカニカルな面は、通常のモデルと変わりない。
エンジンは1750ccのターボで、6速のデュアル・クラッチと、エレクトリックQ2ディファレンシャルが装備されている。このエレクトリックQ2デフは、機械式のノン・スリップ・デフの動きを模倣するもので、スリップする内側のホイールにブレーキを掛け、スタビリティ・コントロールを行うものだ。
■どんな感じ?
総じて良いクルマだ。しかし、騒々しいクルマでもある。895kgしかないボディは、明らかに遮音材をダイエットしているらしく237bhpを発揮する1.75ℓのターボ付きのエンジンからの唸り声が、固いボディ・タブの中で反響する。ラウンチ・エディションは、標準ではオプション扱いとなるスポーツ・エグゾーストを備えていたが、そのサウンド自体は決して不快なものではなく、むしろ好感を持てるものではある。
コクピットは、ロータス・エリーゼやエキシージほど剥き出しではなく、高い素材が使われている。また、ドライバー・フォーカスしたコクピット・レイアウトでもある。但し、シートは腿の下のサポートが欠如しているように思えた。フラット・ボトムのリムを持つステリング・ホイールも、同様にあまり取り扱いに優れるとは思えなかった。しかし、パドル・シフトやデジタル・インストルメントは良好なフィーリングをもたらしてくれた。
ステアリングはノンアシスト。エキシージと比べるとダイレクトさに欠けるが、ロータスが長い時間を掛けてチューニングを施してきたのに対し、アルファ・ロメオはこの4Cを発表したばかりだ。その点は致し方ないのかもしれない。
コーナリングでは細かい凹凸を拾うし、乗り心地も固いが、決して不快なものではない。ワインディング・ロードに連れ出せば、その楽しさが味わえる。機敏で、正確で、運転しやすく、狙ったコーナリングが可能。悪い路面では若干跳ねるが、それもあまり問題にはならない。
サーキットでも終始アンダーステア傾向にあるハンドリングは非常に良い。ターボ・ユニットはそれほどレスポンスが良いわけでも、パワーが充分なわけでもないが、ある意味マクラーレンMP4 12Cのような動きを見せる。
較べてしまうと、ロータス・エリーゼはよりステアリングがよく、リニアなレスポンスを持つ。一方、ポルシェ・カイエンは快適でパーフェクトなセッティングだ。しかし、アルファ・ロメオ4Cは、そのどちらにもない味わいを持った特徴的な1台だ。
■「買い」か?
もちろん「買い」だ。フィエスタRSターボというよりもランチア037並みのサウンドを奏でるが、本当にドライブして愉しいクルマである。アルファ・ロメオのフラッグシップというよりも、それ以上の何かをもたらしてくれる1台でもある。他のアルファ・ロメオもこのようなクルマ作りができるのであれば、もうアルファ・ロメオには悲劇が起きないことだろう。
(マット・プライヤー)
アルファ・ロメオ4C
価格 | £54,000(920万円) |
最高速度 | 257km/h |
0-96km/h加速 | 4.5秒 |
燃費 | 14.7km/ℓ |
CO2排出量 | 157g/km |
乾燥重量 | 895kg |
エンジン | 直列4気筒1742ccターボ |
最高出力 | 237bhp/6000rpm |
最大トルク | 35.7kg-m/2200-4250rpm |
ギアボックス | 6速デュアル・クラッチ |